国勢調査とは何か
概要
国勢調査は、日本で最も重要な統計調査です。日本に住むすべての人と世帯(外国人も含む)を対象とし、5年に一度実施される国の基幹統計調査として位置づけられています。
歴史と意義
- 開始年:大正9年(1920年)
- 実施回数:令和7年(2025年)は第22回目
- 法的根拠:統計法(平成19年法律第53号)
- 実施主体:総務省統計局
なぜ重要なのか
- 法定人口の決定:選挙区の区割り、地方交付税の算定基準
- 政策立案の基礎:社会福祉、雇用対策、災害対策等の基礎データ
- 民間活用:企業の市場分析、立地選定等に活用
- 国際比較:他国との人口・社会情勢の比較分析
調査の基本情報
実施スケジュール
| 期間 | 内容 |
|---|---|
| 2025年9月20日〜9月30日 | 調査員による調査書類の配布 |
| 2025年9月20日〜10月8日 | 回答期間(約3週間) |
| 2025年10月1日午前零時 | 調査期日(この時点での状況を回答) |
| 2025年10月8日まで | 未回答世帯への督促・回収 |
調査対象
- 対象者:日本に常住するすべての人(外国人含む)
- 常住の定義:3か月以上住んでいるか、住む予定の人
- 除外対象:外交使節団構成員、外国軍隊関係者
特殊な対象者の扱い
| 対象者 | 調査場所 |
|---|---|
| 学生(寄宿舎等居住) | 寄宿舎・下宿先 |
| 入院患者(3か月以上) | 病院(3か月未満は自宅) |
| 船舶乗組員 | 生活の本拠または船舶 |
| 自衛隊員 | 営舎または地方総監部所在地 |
| 受刑者・少年院生 | 収容施設 |
調査項目の詳細解説
全17項目の内訳
👥 世帯員に関する事項(13項目)
- 氏名
- プライバシー保護のため統計には使用されない
- 世帯員の重複・欠落防止が目的
- 男女の別
- 男・女・その他から選択
- 出生の年月
- 年齢別人口構成の把握
- 世帯主との続き柄
- 世帯主・配偶者・子・父母・その他の親族・その他
- 配偶の関係
- 未婚・有配偶・死別・離別
- 国籍
- 日本・中国・韓国・朝鮮・フィリピン・ブラジル・その他
- 現在の住居における居住期間
- 人口移動の動向把握
- 5年前の住居の所在地
- 人口移動パターンの分析
- 就業状態
- 主に仕事・家事・通学・その他
- 所属の事業所の名称及び事業の種類
- 産業分類のための情報
- 仕事の種類
- 職業分類のための情報
- 従業上の地位
- 雇用者・自営業主・家族従業者・内職者
- 従業地又は通学地
- 昼間人口・通勤通学流動の把握
🏠 世帯に関する事項(4項目)
- 世帯の種類
- 一般世帯・施設等の世帯
- 世帯員の数
- 世帯規模の把握
- 住居の種類
- 住宅・住宅以外
- 住宅の建て方
- 一戸建・長屋建・共同住宅・その他
回答方法完全ガイド
3つの回答方法
🌐 1. インターネット回答(推奨)
メリット
- 24時間いつでも回答可能
- 入力エラーの自動チェック
- 多言語対応(一部言語)
- 環境に優しい
手順
- アクセス方法(3つから選択)
- QRコード読み取り(推奨)
- 「国勢調査オンライン」で検索
- 「e-kokusei.go.jp」を直接入力
- ログイン
- ログインID:調査書類に記載
- アクセスキー:調査書類に記載
- QRコード使用時は自動入力
- 回答入力
- 画面の指示に従って順次入力
- 1人約10分で完了
- 途中保存可能
- 確認・送信
- 入力内容の最終確認
- 送信完了で調査終了
📮 2. 郵送提出
手順
- 紙の調査票に記入
- 同封の返信用封筒を使用
- 郵送料金不要
- 10月8日までに投函
👤 3. 調査員への直接提出
手順
- 紙の調査票に記入
- 調査員の再訪問時に手渡し
- または調査員に連絡して回収依頼
調査員について
調査員の役割
- 調査書類の配布
- 回答状況の確認
- 未回答世帯への督促
- 調査票の回収
調査員の身分証明
✅ 本物の調査員の特徴
- 調査員証を必ず携帯
- 青い腕章「国勢調査2025」着用
- 青いバッグ「国勢調査2025」使用
- 総務省統計局発行の正式な調査票
調査員への応募(現在は多くの自治体で募集終了)
応募資格
- 20歳以上
- 責任を持って調査を遂行できる
- 秘密保護に信頼がおける
- 税務・警察に直接関係がない
- 暴力団等反社会的勢力に非該当
報酬目安
- 1調査区(約50-80世帯):約5万円
- 2調査区:約9万円
- 3調査区:約14万円
- 4調査区:約18万円
勤務期間
- 令和7年8月〜11月(約2ヶ月)
- 実働15日程度
詐欺対策・注意事項
詐欺の手口
📧 不審メール
- 件名:「【国勢調査2025】調査へのご協力のお願い(回答義務あり)」
- 内容:偽のURLリンク、個人情報入力要求、記念品の進呈を謳う
- 添付ファイル:ウイルス感染の危険
📞 不審電話
- 銀行口座情報の聞き取り
- クレジットカード番号の要求
- 年収・資産状況の質問
🚪 偽装訪問
- 調査員証を持たない
- 金銭を要求
- 調査項目以外の質問
本物と偽物の見分け方
| 項目 | 本物 | 偽物 |
|---|---|---|
| 身分証明 | 調査員証必携 | 身分証なし |
| 服装 | 青い腕章・バッグ | 不審な服装 |
| 質問内容 | 17項目のみ | 金銭・口座番号等 |
| 金銭要求 | 絶対になし | 要求あり |
| 調査票 | 総務省統計局印刷 | 粗悪な印刷 |
| 記念品 | 絶対になし | 進呈を謳う |
対処法
- 不審に思ったら
- 身分証明書の提示を求める
- 市区町村に確認連絡
- 警察への通報(必要に応じて)
- 絶対に応じてはいけないこと
- 金銭の支払い
- 口座情報の提供
- クレジットカード情報の提供
- 不審なURLのクリック
- 記念品を理由にした個人情報の提供
外国人向け情報
多言語サポート
直接回答可能な言語(インターネット)
- 英語、中国語(簡体・繁体)、韓国語、ベトナム語、ポルトガル語、スペイン語、日本語
記入例・案内資料対応言語(28言語)
- 上記言語に加え、インドネシア語、フィリピノ語、ミャンマー語、ネパール語、タイ語、シンハラ語、ベンガル語、クメール語、フランス語、ヒンディー語、モンゴル語、ロシア語、マレー語、ドイツ語、アラビア語、トルコ語、イタリア語、ペルシャ語、ラオ語、ルーマニア語、ウルドゥ語
多言語サポートの利用方法
- インターネット回答
- 上記7言語で直接回答可能
- 国勢調査オンラインサイトで言語選択
- 紙の調査票
- 記入例の多言語版を提供
- 国勢調査2025キャンペーンサイトで確認
- 電話サポート
- 多言語対応コールセンター
- 通訳サービス利用可能
外国人の方への特別な配慮
- 在留カード等での氏名確認可能
- 日本語が不明な場合の支援体制
- 文化的背景を考慮した説明資料
プライバシー保護
法的保護の枠組み
統計法による厳格な秘密保護
- 統計法第41条:調査票の目的外使用禁止
- 統計法第42条:調査関係者の守秘義務
- 統計法第57条:違反者への罰則(2年以下の懲役または100万円以下の罰金)
個人情報保護法との関係
- 統計法が特別法として優先適用
- より厳格な保護基準を設定
- 統計目的以外での使用を完全禁止
データの管理・処理
- 収集段階
- 調査票の厳重管理
- 関係者への守秘義務研修
- 処理段階
- 独立行政法人統計センターで処理
- 個人を特定できない形での集計
- 氏名等の識別情報は統計に使用されない
- 公表段階
- 個人・世帯を特定できない統計表のみ公表
- 地域単位での集計(最小単位は町丁・字等)
調査関係者の守秘義務
| 対象者 | 義務内容 | 罰則 |
|---|---|---|
| 統計局職員 | 調査内容の守秘 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
| 地方公務員 | 同上 | 同上 |
| 調査員 | 同上 | 同上 |
| その他関係者 | 同上 | 同上 |
よくある質問
🏠 回答に関する質問
Q1: 一人暮らしでも国勢調査の対象になりますか?
A: はい。日本に住むすべての人が対象です。世帯の規模は関係ありません。
Q2: 住民票を移していない学生はどこで回答しますか?
A: 実際に住んでいる場所(下宿・寮等)で回答してください。
Q3: 単身赴任の場合はどうしますか?
A: 生活の本拠(家族と住む住居)で回答します。
Q4: 入院中の場合はどうしますか?
A: 3か月以上の入院:病院で回答、3か月未満:自宅で回答
💻 インターネット回答について
Q5: スマートフォンでも回答できますか?
A: はい。スマートフォン、タブレット、パソコンすべてで回答可能です。
Q6: インターネット回答の途中で中断できますか?
A: はい。途中保存機能があります。
Q7: ログインIDを忘れた場合はどうしますか?
A: 調査書類に記載されています。紛失した場合は市区町村にお問い合わせください。
👥 調査項目について
Q8: なぜ氏名を記入する必要がありますか?
A: 世帯員の重複や漏れを防ぐためです。統計には使用されません。
Q9: 収入を聞かれますか?
A: いいえ。年収や資産状況は調査項目にありません。
Q10: 「その他」の選択肢がある項目はどう答えますか?
A: 該当する選択肢がない場合に選択し、具体的な内容を記入します。
📝 回答義務について
Q11: 回答しないとどうなりますか?
A: 統計法により50万円以下の罰金が科される可能性があります。
Q12: 虚偽の回答をするとどうなりますか?
A: 同様に50万円以下の罰金が科される可能性があります。
Q13: 回答を拒否できますか?
A: 統計法により回答義務があります。プライバシーは厳重に保護されますので、ご協力をお願いします。
🔒 プライバシーについて
Q14: 個人情報が漏れる心配はありませんか?
A: 統計法により厳重に保護されています。関係者には守秘義務が課され、違反者には厳しい罰則があります。
Q15: 調査結果はどのように使われますか?
A: 個人を特定できない統計として、政策立案や学術研究等に使用されます。
調査結果の活用
公表スケジュール
| 時期 | 公表内容 |
|---|---|
| 2026年2月頃 | 人口速報集計 |
| 2026年10月頃 | 人口等基本集計 |
| 2027年4月頃 | 就業状態等基本集計 |
| 2027年10月頃 | 産業等基本集計 |
主な活用分野
🏛️ 行政での活用
- 選挙制度
- 衆議院議員選挙区の区割り
- 議員定数の配分
- 財政運営
- 地方交付税の算定基準
- 補助金配分の基準
- 政策立案
- 高齢者福祉政策
- 子育て支援政策
- 雇用対策
- 災害対策
🏢 民間での活用
- 企業経営
- 市場調査・需要予測
- 店舗立地選定
- 人事労務政策
- 学術研究
- 人口学研究
- 社会学研究
- 経済学研究
🌍 国際比較
- 他国との人口動向比較
- 国際統計への基礎データ提供
- 国際機関への報告
データの公開方法
- 政府統計の総合窓口「e-Stat」での公開
- 統計表の無料ダウンロード
- API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)での提供
お問い合わせ・相談窓口【最新情報】
国勢調査コンタクトセンター
- 電話番号:0570-02-5901(ナビダイヤル)
- IP電話の場合:03-6628-2258
- 設置期間:令和7年9月16日(火)〜11月7日(金)
- 受付時間:午前9時〜午後9時(土日祝日も対応)
対応内容:
- 調査に関する一般的な質問
- インターネット回答の技術的サポート
- 多言語での対応
各市区町村の窓口
- 住所地の市区町村統計担当課
- 調査員に関する問い合わせ
- 調査書類の再発行
詐欺・不審な調査に関する相談
- 警察相談専用電話:#9110
- 消費者ホットライン:188
- 各都道府県警察本部
最終チェックリスト
回答前の確認事項
- ☑ 調査期日は2025年10月1日現在の状況
- ☑ 世帯全員分の情報を準備
- ☑ インターネット回答の場合、ログインIDとアクセスキーを確認
- ☑ 不明な点は事前に問い合わせ
回答時の注意点
- ☑ 正確な情報を記入
- ☑ 推測での回答は避ける
- ☑ 17項目すべてに回答
- ☑ 送信前の最終確認
回答後の注意事項
- ☑ 回答完了画面の確認
- ☑ 紙の調査票を使用した場合は確実に提出
- ☑ 不審な連絡には応じない
まとめ
国勢調査2025は、日本の未来を形作る重要な統計調査です。この完全ガイドに記載された情報を参考に、安全かつ正確に回答していただければと思います。
重要なポイント
- 回答は法的義務:統計法により全員に回答義務があります
- プライバシーは完全保護:統計法による厳格な保護体制
- インターネット回答が便利:24時間対応、多言語サポート
- 詐欺に注意:不審な調査には応じず、正規ルートで確認
- 記念品は絶対にない:記念品を謳う連絡は詐欺
- 結果は社会貢献:より良い社会づくりの基礎データとして活用
この調査への協力は、より良い日本社会の実現に向けた重要な社会参加の機会です。正確な回答により、効果的な政策立案と社会の発展に貢献しましょう。
関連リンク
この完全ガイドは2025年9月26日時点の最新情報に基づいて更新されています。最新の情報は公式サイトでご確認ください。

