年金から引かれるもの5つ!年金手取り額の早見表も紹介!

給与と同じように、年金からも税金や保険料が差し引かれることを知っていますか?

年金は主に「所得税」「住民税」「介護保険料」「国民健康保険料」「後期高齢者医療保険料」の5つが差し引かれた金額が手取り額になります。

なお、障害者年金と遺族年金は非課税なので、税金はかかりません。

ここでは、年金の支給額と手取り額の違いを明確にし、差し引かれる項目の概要や計算方法を解説します。

さらに、年金手取り額の早見表も紹介するので、将来のライフプランを設計する際の参考にしてください。

【2025年・2026年の重要な制度改正】

2025年度:年金支給額が前年度比+1.9%引き上げ(老齢基礎年金満額 月額69,308円)

2025年分〜:所得税の基礎控除が最大95万円に引き上げ(合計所得金額132万円以下の場合)

2026年4月〜:在職老齢年金の支給停止基準額が月51万円→62万円に引き上げ

2027年〜:給与所得控除と公的年金等控除の合計額の上限が280万円に

目次

年金の支給額と手取り額の違い

年金は、給与と同じように「支給額」「手取り額」に違いがあります。支給額は各種税金や保険料が差し引かれる前の金額で、実際に受け取れる金額である手取り額は、そこからさまざまな費用が控除されたあとの金額です。

出典:日本年金機構「年金振込通知書

具体的には、年金振込通知書に「年金支払額」と「控除後振込額」として記載されています。それぞれの意味は以下の通りです。

年金振込通知書の確認項目

年金支払額:税金や保険料が差し引かれる前の金額(支給額)

控除後振込額:税金や保険料を差し引いたあとの金額(手取り額)

これらの差額は、所得税や住民税、介護保険料や国民健康保険料などから生じます。

とくに高齢者は、病気や介護が必要になる可能性が高く、医療費や介護サービスの利用が増える傾向があります。そのため、サービスを利用した際の自己負担額が家計に影響することもあるでしょう。

このように、年金支給額を見ただけでは安心せず、手取り額を正確に把握し、実際に利用可能な金額をもとに生活設計をおこなうことが重要です。

年金から引かれるもの5つ

年金から引かれる税金と社会保険は、主に以下の5つです。

年金から引かれ5つのもの

所得税
住民税
介護保険料
国民健康保険料
後期高齢者医療保険料

これらは年金の受給者が住んでいる地域や所得、年齢に応じて異なる額が徴収されます。

ここでは、それぞれの対象者や計算方法について、詳しく解説していきます。

所得税

所得税は国税なので、国に納める税金です。年金に所得税がかかるかどうかは、年齢と年金支給額によって決まります。以下の条件を満たす場合、所得税が課されます。

所得税の条件

65歳未満:年金支給額が108万円以上
65歳以上:年金支給額が158万円以上

上記に該当しない年金支給額が65歳未満で108万円以下、または65歳以上で158万円以下の場合は、所得税はかかりません。

また、障害年金と遺族年金を受給している方も所得税は非課税になります。

所得税の計算方法

所得税の計算方法は、次の通りです。

所得税の計算方法

①年金額から、社会保険料控除や配偶者控除などの各種控除を差し引く

②残った金額(課税所得)に税率をかける

計算式は以下のようになります。

所得税の計算式

「所得税 = (年金額 – 各種控除) × 5.105%」

この5.105%には、所得税(5%)と復興特別所得税(0.105%)が含まれています。

対象の控除が多いほど課税所得が小さくなり、所得税が少なくなる、または所得税がかからなくなることもあります。

主な控除の種類は以下のとおりです。

主な控除の種類

公的年金等控除、基礎控除相当(受給者全員対象)

配偶者控除、老人控除対象配偶者相当

扶養控除、特定扶養親族控除、老人扶養親族控除

普通障害者控除、特別障害者控除、同居特別障害者控除

寡婦控除、ひとり親控除

控除を適用するには確定申告をする必要がありますが、適切に申請することで所得税の負担を大幅に軽減できるようになります。そのため、このような控除を最大限活用すると良いでしょう。

【2025年税制改正】基礎控除の引き上げ

2025年分の所得税から、基礎控除が大幅に引き上げられました。

合計所得金額132万円以下:基礎控除95万円(従来の48万円から47万円増)

合計所得金額132万円超〜655万円以下:所得階層別に58万円〜88万円(2025年・2026年の時限措置)

合計所得金額655万円超〜2,350万円以下:58万円(従来の48万円から10万円増)

これにより、年金収入のみの方は税負担が軽減される可能性があります。

住民税

住民税は、都道府県民税と市町村民税を合わせた地方税で、住んでいる地域の自治体に納める税金です。

年金に住民税が課されるかどうかは、年齢や年金支給額、配偶者の有無によって異なります。以下は、年金の収入のみで、配偶者に収入がない場合の基準です。

【配偶者なし】

65歳未満:年金支給額が106万円以上
65歳以上:年金支給額が156万円以上

【配偶者あり】

65歳未満:年金支給額が171万3,334円以上
65歳以上:年金支給額が212万円以上

また、所得税と同様に、住民税も障害年金と遺族年金は課税対象ではありません。

住民税の構成

住民税は、以下の2つの税額から成り立っています。

住民税の構成

①所得割:年金支給額等の所得に基づいて計算される(一律10%)
②均等割:国税と合わせて定額5,000円

【所得割】

市町村民税:6%(指定都市は8%)
道府県民税:4%(指定都市は2%)

【均等割】

市町村民税:3,000円

道府県民税:1,000円

【国税】森林環境税:1,000円

令和6年度から、地方税に森林環境税(国税)が追加されました。これにより均等割の内訳が変わりましたが、合計金額(5,000円)は以前と変わりません。

ただし、一部の自治体では環境保全目的で超過課税を課している場合があります。

住民税の計算方法

住民税の計算は工程が多く、複雑です。そのため、市区町村が提供している「住民税シミュレーション」を活用すると便利です。

たとえば、東京都港区では、住民税のシミュレーションツールを提供しており、年金収入や控除額を入力するだけで、簡単に住民税額を試算できます。

こうしたツールを活用することで、手間を省きつつ、住民税の負担額を事前に把握できるため、家計管理や将来の計画が立てやすくなります。

時間の節約にもなり、複雑な税金の計算が一気に簡単になるので、ぜひ試してみてください。

※注意:住民税の基礎控除は2025年税制改正後も従前のまま(43万円)であり、所得税のような引き上げはありません。

介護保険料

介護保険は、介護が必要になった際に、介護費用を給付してくれる社会保険制度です。利用するには、65歳以上で、市区町村の要介護認定を受ける必要があります。

ただし、40〜64歳でも特定疾病患者と認定されると、65歳未満でも介護保険制度の利用が可能です。

介護保険料の支払い開始時期は、自営業者(第1号被保険者)と会社員・公務員(第2号被保険者)で異なります。

介護保険料の支払い開始時期の違い

第1号被保険者:65歳以上の人
第2号被保険者:40〜64歳までの医療保険に加入している人

ただし、以下の条件に該当する方は介護保険料が免除されます。

介護保険料が免除される人

障害や難病で「適用除外施設」に入院または入居している方
生活保護を受けている方
専業主婦(夫)の方

年金受給額が18万円以上ある場合は、年金から介護保険料が天引きされる仕組みです。

参照元:金融広報中央委員会|知るぽると|介護保険制度のしくみ

介護保険料の計算方法

介護保険料は、第1号被保険者と第2号被保険者で金額の決め方が異なります。

第1号被保険者(65歳以上)は、市町村ごとに条例で決められた基準額をもとに、本人や世帯の所得などによって段階的に設定されます。保険料の見直しは3年ごとにおこなわれ、2024〜2026年度(第9期)の全国平均介護保険料は「月額6,225円」です。これは前期(2021〜2023年度)の6,014円から211円(3.5%)増加しており、制度開始時(2000年)の2,911円から約2.1倍に上昇しています。

なお、保険者(市区町村)によって金額に大きな差があり、最も高いのは大阪市の9,249円、最も低いのは東京都小笠原村の3,374円と、約2.7倍の開きがあります。

第2号被保険者(40~64歳)は、加入している医療保険によって計算方法が異なります。2025年度の協会けんぽの介護保険料率は1.59%です。

第2号被保険者の介護保険料の計算方法

会社の健康保険に加入している場合:医療保険ごとに設定された介護保険料率と給与などで計算。介護保険料は会社と被保険者が半分ずつ負担

地域の国民健康保険に加入している場合:所得や資産、世帯人数に応じて世帯単位で設定

国民健康保険組合に加入している場合(医師、建設業など):組合の規約に基づいて決定

国民健康保険料

国民健康保険は、病気やけがで病院を利用した際、医療費の一部を国が給付してくれる医療保険制度です。

会社員や公務員が加入する健康保険や、後期高齢者医療制度に該当しない場合、国民健康保険に加入する必要があります。そのため、定年退職により会社の健康保険を喪失した方や、扶養から外れた家族(専業主婦・夫など)は、必ず国民健康保険に加入しなければいけません。

国民健康保険の納め方は、年金受給額が年間18万円以上ある場合、原則として年金から国民健康保険料が天引き(特別徴収)されます。しかし、国民健康保険料と介護保険料の合計が、特別徴収対象年金額(1回あたり)の2分の1を超える場合、特別徴収の対象にはなりません。その場合は、納付書や口座振替などでの支払いが必要となります。

参照元:日本年金機構「Q. 年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」

国民健康保険料の計算方法

国民健康保険料の計算方法は、所得に応じて金額が決まる「所得割」や、所得に関係なく定額の負担がかかる「均等割」など、各市区町村で計算方法が定められています。

そのため、国民健康保険料の計算方法は各自治体のホームページを確認するか、簡単に試算できるシミュレーションサイトの活用もおすすめです。

後期高齢者医療保険料

後期高齢者医療保険は、75歳以上の人が対象となる医療保険制度です。これにより、国民健康保険やほかの健康保険に加入していた人は、75歳の誕生日を迎えると自動的に後期高齢者医療保険に移行します。

これにより、病院の窓口での支払いが1〜3割負担に軽減されます。負担割合は所得に応じて決まる仕組みです。

後期高齢者医療保険料も、年金受給額が年間18万円以上ある場合、原則として年金から国民健康保険料が天引き(特別徴収)されます。しかし後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計が、特別徴収対象年金額(1回あたり)の2分の1を超える場合、特別徴収の対象にはなりません。

後期高齢者医療保険料の計算方法

後期高齢者医療保険料は、均等割と所得割を足した額が保険料になります。金額や率は自治体ごとに異なり、以下は令和6〜7年度の東京都の例です。

東京都の例(令和6~7年度)

「47,300円(均等割額)+(総所得金額から基礎控除額を引いた所得×9.67%(所得割額))=後期高齢者医療保険料」

保険料の目安として、令和6年度(2024年度)の全国平均は月額7,082円、令和7年度(2025年度)は月額7,192円(110円増加)となる見込みです。これは令和4・5年度の月額6,575円から507円(7.7%)の増加であり、制度創設以来の最高額となっています。

保険料が増加した主な要因は、医療費の伸び(前年度比2.7%増見込み)と、2024年度からの制度改正により現役世代の支援金の伸びを抑えるため後期高齢者の負担率が引き上げられたことです。

東京都では、保険料試算用シートが提供されています。年収や世帯構成などの必要情報を入力するだけで簡単に保険料を試算できるので、負担額を把握するために、ぜひ活用してみてください。

【早見表】年金の手取り額

以下は、65歳以上75歳未満の方が公的年金のみを受給している場合の手取り額の早見表です。税金や保険料を差し引いたあとの目安額をまとめています。

年金収入手取り額内訳
80万円約72万8,175円・所得/住民税:0円
・国保:65,600円
・介護:6,225円
150万円約142万8,175円・所得/住民税:0円
・国保:65,600円
・介護:6,225円
180万円約165万7,275円・所得税:11,200円
・住民税:29,500円
・国保:96,500円
・介護:6,225円
200万円約180万4,275円・所得税:21,400円
・住民税:49,500円
・国保:119,500円
・介護:6,225円

※2026年1月時点の情報に基づいて作成
※東京都港区を基準
※介護保険は全国平均(6,225円)を使用
※2025年税制改正による基礎控除引き上げを反映した場合、所得税はさらに軽減される可能性があります

年金収入が多くなるほど、税金や保険料の負担が増えるため、手取り額が相対的に少なくなることがわかります。こうした早見表を参考にすることで、今後の生活設計に役立つでしょう。

【2026年4月〜】在職老齢年金制度の見直し

2025年6月に成立した年金制度改正法により、2026年4月から在職老齢年金の支給停止基準額が大幅に引き上げられます。

在職老齢年金の支給停止基準額

現行(2025年度):月額51万円

改正後(2026年4月〜):月額62万円

在職老齢年金とは、65歳以上で厚生年金に加入しながら働く方の老齢厚生年金が、賃金(賞与含む月収)と年金の合計額に応じて調整される制度です。

現行制度では、賃金と厚生年金の合計が月51万円を超えると、超えた分の半額が支給停止となっていましたが、改正後は62万円まで支給停止がかかりません。

具体例:賃金(ボーナス含む年収の1/12)45万円、厚生年金10万円の場合

合計55万円 → 現行では5万円オーバーのため2万5千円が支給停止 → 改正後は62万円以下のため全額支給

この改正により、約20万人が老齢厚生年金を全額受給できるようになると試算されています。「働くほど年金が減る」という不安が軽減され、高齢者の就労意欲向上が期待されています。

年金受給者でも確定申告は必要?

以下の条件を満たす場合、所得税の確定申告は不要です。

所得税の確定申告が不要なケース

①公的年金等の収入金額が400万円以下:(すべての年金が源泉徴収の対象となっている場合)

②公的年金等以外の所得が20万円以下:(たとえば、アルバイト収入や副収入など)

※ただし、所得税法の特定規定により源泉徴収を受けない年金は、この対象外となります。
※2025年分の年金について、特定親族特別控除を受ける場合は確定申告が必要です。

また、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合があります。そのため、住んでいる自治体の窓口に確認しましょう。

確定申告をした方がお得なケース:医療費控除、生命保険料控除、社会保険料控除などの各種控除を受けることで、還付金を受け取れる可能性があります。

年金から引かれるものに関するよくある質問

年金から引かれるものに関するよくある質問を紹介します。

国民健康保険は全部まとめて引き落とされる?

国民健康保険料は世帯ごとにまとめて引き落とされます。たとえば、夫婦2人暮らしの場合、夫婦それぞれの保険料の合計額が、世帯主の口座から一括で引き落とされる仕組みです。

なお、保険料の納付方法については、自治体によって異なる場合もあるため、詳細はお住まいの市区町村に確認してください。

介護保険料は収入によって変動する?

介護保険料は収入によって変動します。収入が多いほど保険料が高くなる仕組みです。

2025年度の年金額はどのくらい増えた?

2025年度の年金額は前年度比+1.9%の引き上げとなりました。老齢基礎年金(満額)は月額69,308円(前年度比+1,308円)です。ただし、マクロ経済スライドによる調整(▲0.4%)が3年連続で発動されているため、物価上昇率を考慮すると実質的には目減りしています。

年金をもらいながら働くと損になる?

2026年4月から在職老齢年金の支給停止基準額が51万円から62万円に引き上げられるため、より多くの方が年金を減額されずに働けるようになります。また、「在職定時改定」により、働き続けることで将来の年金額も増えるため、一概に「働き損」とは言えません。

年金の手取り額を知って、スムーズな家計管理を!

年金は給与と同じく、「支給額」と「手取り額」に違いがあります。年金から引かれる主なものとしては、「所得税」「住民税」「介護保険料」「国民健康保険料」「後期高齢者医療保険料」の5つです。

ただし、75歳以上になると国民健康保険料から後期高齢者医療保険料へ移行するため、これらを同時に支払う必要はありません。

さらに、公的年金等の収入が400万円以下で、その他の所得が20万円以下の場合は、所得税の確定申告は原則不要です。ただし、住民税については別途申告が必要になる場合があるため、注意しましょう。

2025年・2026年は年金制度と税制の改正が多い時期です。基礎控除の引き上げや在職老齢年金の見直しなど、年金受給者にとって有利な変更も含まれていますので、最新情報をチェックして家計管理に役立ててください。


最終更新:2026年1月13日

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この記事を書いた人

アメリカの大学で経済・会計学を学ぶ。Associate degree(准学士号)を取得後、不動産事務やWeb広告営業など様々な業界を経験。

現在は、ファイナンシャルプランナーとしてWebライターの活動をしながら自身のブログやSNSで20代に向けた「お金の基礎知識」について発信をしている。

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