2026年2月28日の米・イスラエルによるイラン攻撃をきっかけに、原油価格が急騰しています。ガソリン・航空燃油サーチャージ・電気代など、燃料費の値上がりが家計に幅広く影響する見通しです。この記事では3月13日時点の最新情報をもとに、いつ・いくら上がるのか、今からできる節約策は何かをまとめます。
この記事のポイント(要点)
- 【ガソリン】3月9日時点の全国平均は161.8円(4週連続値上がり)。来週180円突破の可能性。政府の補助金再開(3月19日出荷分〜)で170円台への抑制を見込む
- 【ガソリン】ENEOSが1リットル26円の卸値値上げを通知。20円超は異例の大幅値上げ
- 【航空券】JAL・ANAの燃油サーチャージは4〜5月発券分は現行水準に据え置き。6月以降に値上げがほぼ確実
- 【航空券】欧米往復のサーチャージは現行58,000円→6月以降88,000円超になる可能性。早期発券で最大3万円以上の節約になる可能性がある
- 【電気・ガス】原油高騰の波及は3か月後が目安。2026年夏〜秋に1割超の上昇見込み
- 政府は3月11日に補助金再開・石油備蓄の単独放出(制度開始以来初)を発表
背景:イラン情勢と原油急騰の経緯
2026年2月28日、アメリカとイスラエルがイランの軍事拠点に対して大規模な攻撃を実施しました。イラン側は報復として、サウジアラビア・バーレーン・カタール・UAE・クウェートの米軍基地にミサイル攻撃を加え、ホルムズ海峡が事実上の閉鎖状態に追い込まれています。
日本は原油の9割以上を中東から輸入しており、ホルムズ海峡はその大動脈です。最狭部の幅は約33kmで、世界の石油消費量の約5分の1(約20%)がこの海峡を通過します。この混乱が長引けば、ガソリンや航空燃料を含む燃料全般の価格高騰は避けられない状況です。
経緯のタイムライン
- 2025年12月末:政府がガソリン税の暫定税率(約25円)を廃止。2026年1月中旬に店頭価格が155円を下回り約4年半ぶりの安値に
- 2026年2月28日:米・イスラエルによるイラン大規模攻撃。ホルムズ海峡が事実上閉鎖へ。原油相場が急騰開始
- 2026年3月2日:経済産業省が「イラン情勢を踏まえたエネルギー対策本部」を設置(赤澤大臣が本部長)
- 2026年3月6日:全国レギュラーガソリン週平均が157.41円に急騰
- 2026年3月11日:ENEOSが12〜18日分の卸値を1リットル26円引き上げと通知(20円超は異例)。高市総理が補助金再開・備蓄放出を表明
- 2026年3月12日:原油価格が一時1バレル100ドルを突破。ジェット燃料が最大150%急騰との報道(Bloomberg)
ガソリン・燃料価格の最新状況
直近の価格推移
| 時期 | 全国平均(レギュラー) | 主な要因 |
|---|---|---|
| 2026年1月中旬 | 155円を下回る | 暫定税率廃止・補助金が重なり約4年半ぶり安値 |
| 2026年3月6日 | 157.41円(週平均) | イラン攻撃による原油急騰が反映開始 |
| 2026年3月9日 | 161.80円(4週連続値上がり) | 原油上昇が卸値に転嫁 |
| 3月18日(来週)予想 | 180円突破の可能性 | ENEOS26円値上げ通知が反映される見込み |
| 補助金反映後(4月上旬目安) | 170円以下に抑制方針 | 政府補助金(3月19日出荷分〜)が店頭に波及 |
※経済産業省・石油情報センター・各社発表をもとに編集部まとめ
軽油・灯油・重油への波及
政府補助金の対象はレギュラーガソリンだけでなく、軽油・重油・灯油・航空機燃料にも及びます。農業・漁業・運送業など燃料コストの高い業種への影響は大きく、食品・物流コストの上昇を通じて生活全般への波及が懸念されています。
なお、2025年末の暫定税率廃止で店頭価格は約20円下がっていました。イラン情勢が中間シナリオ並みに推移した場合、その減税効果が完全に帳消しになるリスクがあります。
航空燃油サーチャージとは?JAL・ANA最新料金
そもそも燃油サーチャージとは
燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)は、航空会社が燃料費の変動に対応するため、通常の航空運賃とは別に請求する変動制の追加料金です。本来は運賃に含まれるべき燃料費ですが、原油価格の激しい変動への対応と透明性の観点から「別枠」として設定されています。1991年の湾岸戦争をきっかけに業界標準となり、1997年にIATAが制度を認可。JAL・ANAは2005年から導入しています。
算定の仕組みは、シンガポール市場のケロシン(ジェット燃料)価格の直近2か月平均と為替レートを掛け合わせた円建て価格をもとに、国土交通省の認可を経て2か月ごとに改定されます。発券時点の金額が適用され、発券後に価格が変わっても追加請求・返金はありません。また、JAL・ANAのマイル特典航空券にも同額が適用されます(座席を使わない2歳未満は対象外)。
⚠️ マイル特典も対象です:「マイルで無料」と思っていても、欧米往復で58,000円以上の現金負担が発生します。
現行の燃油サーチャージ額(JAL・ANA共通 4〜5月発券分)
| 路線区分 | 片道(1人1区間) | 往復合計 |
|---|---|---|
| 北米・欧州・オセアニア | 29,000円 | 58,000円 |
| ハワイ・インドなど | 17,800円 | 35,600円 |
| タイ・シンガポールなど東南アジア | 15,500円 | 31,000円 |
| 韓国・中国など近距離アジア | 約5,000〜7,000円 | 約10,000〜14,000円 |
※JAL・ANA 4〜5月発券分。大人・小児・幼児(座席使用)同額。マイル特典航空券も同額。JAL公式・タビリス調べをもとに編集部作成
6月以降はいくらになる?早期発券の節約効果
4〜5月発券分はイラン攻撃前の2025年12月〜2026年1月のケロシン価格(平均84.26ドル・為替156.27円)をもとに算定されており、現在の急騰は反映されていません。6〜7月発券分は2〜3月の価格が基準となるため、値上げはほぼ確実とみられています。
攻撃直前でもシンガポールケロシンの市況は96ドル程度と、算定基準(84.26ドル)より14%以上高い水準でした。タビリス・旅行総合研究所の試算では、情勢が落ち着かなければ6月発券分から欧米往復88,000円程度に値上がりする可能性があります。
| 発券タイミング | 適用サーチャージ(欧米往復) | 差額 |
|---|---|---|
| 今すぐ発券(4〜5月発券分適用) | 58,000円 | — |
| 6月以降に発券(楽観シナリオ) | 約70,000円〜 | +12,000円〜 |
| 6月以降に発券(中間シナリオ) | 約88,000円〜 | +30,000円〜 |
※タビリス・旅行総合研究所の試算をもとに編集部作成。実際の金額は2〜3月のケロシン平均価格・為替により確定します。
航空券全体への影響
サーチャージ以外にも、航空券全体の値上がりが懸念されています。IATAのウォルシュ事務局長は航空券価格が最大9%上昇する可能性を示唆しました(Bloomberg、2026年3月12日)。燃料費は航空会社コストの約4分の1を占めるためです。
加えて、ドバイ・ドーハ経由の日欧乗り継ぎルートが敬遠されやすくなり、直行便需要が集中することで日欧間の航空券相場は高止まりが続く見込みです。
政府の緊急対策まとめ
① ガソリン補助金の再開(3月11日発表)
高市総理は3月11日の記者会見で、緊急的な激変緩和措置として補助金を再開し、全国平均の小売価格を170円程度に抑制する方針を表明しました。財源は「燃料油価格激変緩和対策基金」の残高(2月末時点で約4,000億円)を活用します。
- 対象:レギュラーガソリン・軽油・重油・灯油・航空機燃料
- 開始:3月19日出荷分から支給
- 店頭反映:1〜2週間後(4月上旬目安)
- 目標:全国平均170円以下に抑制
ガソリン補助金は暫定税率廃止と同じ昨年12月末に廃止されており、わずか2か月余りでの復活となります。
② 石油備蓄の単独放出(制度開始以来初)
政府は補助金再開に加え、石油備蓄の放出も決定しました。まず3月16日にも民間備蓄15日分を市場に供給し、その後1か月分の国家備蓄を段階的に放出します。日本が他国と協調せず独自の判断で単独放出するのは、制度開始以来初めてです。
③ エネルギー対策本部の設置
3月2日付けで赤澤経済産業大臣を本部長とする「イラン情勢を踏まえたエネルギー対策本部」が設置されており、中東情勢の長期化を見据えた追加対策を随時検討しています。
今後のシナリオと価格見通し
野村総合研究所(2026年3月)は、イラン情勢の展開に応じた3段階のシナリオを示しています。
| シナリオ | 原油価格の想定 | ガソリン価格への影響 |
|---|---|---|
| 楽観シナリオ | 上昇幅+10ドル程度 | 上昇幅は限定的。補助金で対応可能な範囲 |
| 中間シナリオ(ベース) | 1バレル87ドル | レギュラーガソリンが200円超へ。暫定税率廃止効果は消失 |
| 悲観シナリオ | 1バレル140ドル | 328円との試算あり(安田洋祐教授・政策研究大学院大学) |
※出典:野村総合研究所(2026年3月)、関西テレビ報道(2026年3月4日)
家計への波及:3段階のタイムライン
| 段階 | 影響する品目 | 値上がり時期の目安 |
|---|---|---|
| 第1段階 | ガソリン・軽油・灯油・航空燃料 | 今すぐ〜1か月後 |
| 第2段階 | 電気代・都市ガス代 | 3か月後(2026年夏〜秋) |
| 第3段階 | 食品・輸入品全般 | 半年後(2026年秋〜冬) |
※経済評論家・加谷珪一氏のコメント(TBS「ひるおび」2026年3月9日放送)をもとに編集部整理
野村総研・木内エグゼクティブ・エコノミストは、原油が1バレル100ドルで推移した場合、ガソリン1リットル235円・電気ガス代約2割増・卵1パック約15円値上がりと試算しています(出典:野村総合研究所、2026年3月)。
今すぐできる節約術・具体的行動
航空券・旅行を予定している方
GWや夏休みに海外旅行を計画中なら、4〜5月発券分が適用される今すぐの発券が有効です。欧米往復で最大3万円以上の差が生まれる可能性があります(前掲の節約試算参照)。
- 発券後に価格が上がっても追加徴収なし(ただし自己都合の変更・再発行は除く)
- JALは変更不可のため、旅行日程が確定している場合のみ早期発券を検討
- ANAは国内区間を後から変更するとその時点のサーチャージに改定されるため注意
- エールフランスなど一部提携会社のマイル特典はサーチャージ不要のケースあり
- ⚠️ ドバイ・ドーハ経由の日欧便は中東空域の閉鎖や安全上の理由で運航停止・迂回が発生中。各航空会社の最新運航情報を必ず確認してください
ガソリンを使う方
- 補助金反映前(3月中旬〜末)は180円前後になる可能性。急ぎでない給油は補助金が反映される4月上旬以降がお得
- dポイント・Pontaなどガソリンスタンドポイントを活用して実質負担を軽減
- 買いだめ・大量購入はパニックを誘発し価格をさらに押し上げるリスクあり。平常時と同じ量の給油を
電気・ガス代の備え
- 電気・ガス代の値上がりは3か月後(夏頃)が目安。今のうちに省エネ対策を
- 電力会社・ガス会社の切り替えで割引を受けられる場合も。値上げ前の今が見直しのタイミング
よくある質問(FAQ)
JAL・ANAの燃油サーチャージは6月以降いくらになりますか?
まだ確定していませんが、2〜3月のシンガポールケロシン価格の平均と為替をもとに5月頃に発表されます。現状の急騰が続いた場合、欧米往復で現行58,000円→88,000円程度になるとの試算があります(タビリス・旅行総合研究所)。情勢次第でさらに上振れする可能性もあります。
ガソリン価格はいつ頃170円台に落ち着きますか?
政府補助金(3月19日出荷分〜)の店頭反映は1〜2週間後の見込みで、4月上旬には170円以下への抑制が期待されます。ただし原油価格が一段と上昇した場合は補助金の追加が必要になる可能性もあり、先行きは不透明です。
すでに発券済みの航空券のサーチャージはどうなりますか?
発券時点の燃油サーチャージが適用されます。出発前に価格が上がっても追加徴収はありません。ただし、ご自身都合での変更・再発行が必要になった場合はその時点の料金が適用されることがあります。旅行会社経由の商品は各社の規定をご確認ください。
国内線の燃油サーチャージも上がりますか?
現在、JAL・ANAともに国内線には燃油サーチャージを設けていません。ただし燃料費の上昇が続く場合、国内線の航空運賃そのものが値上がりする形で影響が出る可能性があります。
電気代・ガス代はいつから上がりますか?
原油高騰が電気代・ガス代に波及するのはおおよそ3か月後が目安とされています。中間シナリオが続く場合、2026年夏〜秋頃に1割超の上昇が見込まれます(経済評論家・加谷珪一氏ほか)。
石油備蓄の放出とは何ですか?家計への効果は?
政府が国内に備蓄している原油・石油製品を市場に供給することで、供給不足を和らげ価格高騰を抑える措置です。今回は民間備蓄15日分+国家備蓄1か月分を段階放出します。短期的な価格下押し効果が期待されますが、根本的な解決は中東情勢の落ち着き次第です。
まとめ
- イラン攻撃でホルムズ海峡が事実上封鎖。原油が1バレル100ドルを一時突破し燃料費が全面的に高騰している
- 全国レギュラーガソリン平均は3月9日時点161.8円。来週(3月18日公表)に180円突破の可能性
- 政府は3月11日に補助金再開・石油備蓄の単独放出を発表。4月上旬に170円台への抑制を見込む
- JAL・ANA燃油サーチャージは4〜5月発券分は据え置き(欧米往復58,000円)。6月以降に値上げが濃厚で、早期発券で最大3万円以上節約できる可能性がある
- 電気・ガス代は3か月後(夏頃)、食品は半年後が値上がりの波及目安。今から省エネ・節約の準備を

