自転車の追い越しルールに関する要点
2026年4月1日から道路交通法が改正され、自動車が自転車を追い越す際は1m以上の側方間隔を確保し、確保できない場合は時速20〜30km程度へ減速する義務が生じました。違反すると反則金7,000円・違反点数2点が課せられます。
- 側方間隔は少なくとも1m以上が目安(余裕があれば1.5m推奨)
- 間隔が取れない場合は時速20〜30kmへ減速
- 違反で反則金7,000円・違反点数2点
- 自転車側も左側端に寄る義務あり(違反で反則金5,000円)
- 悪質な場合は3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金

2026年4月から変わった「自転車追い越し」の中身
これまでの法律は何が問題だったのか
改正前の道路交通法には、自転車の右側を通過する際の側方間隔や速度について具体的な義務規定がなく、「できる限り安全に」という曖昧な条文のみでした。それが今年4月1日から、「間隔が取れないなら減速せよ」という義務として明文化されました。

新設された条文の内容
新設されたのは道路交通法第18条を改正した条文で、自動車が自転車の右側を通過する際、十分な間隔が取れない場合は十分に減速して通過することが求められます。
警察庁が公表した具体的な数値目安
警察庁が公表している目安は、少なくとも1メートル程度の側方間隔を確保すること、確保できない場合は時速20〜30キロメートル程度まで減速すること、の2点です。JAF Mateでは安全余裕として1.5メートル以上を推奨しており、道幅に余裕がある場面ではこちらを意識しておくと安心です。
自転車側にも新たな義務が生じた
自転車は、自動車等に右側を通過される際、できる限り道路の左側端に寄って通行しなければなりません(道路交通法第18条第4項)。車道の中央に近い位置を走り続けることは、今後は違反になり得ます。
自転車追い越しの罰則の具体的な中身
自動車側の罰則
自動車側の罰則は3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金、点数は2点、反則金は普通車で7,000円です。違反点数2点は他の違反と重なると免許停止に近づきます。住宅街での追い越しが多い業務用ドライバーは特に注意が必要です。
自転車側の罰則
左側端に寄らなかった場合、被側方通過車義務違反として5万円以下の罰金、反則金5,000円の対象となります(道路交通法18条4項)。
「追い越し」と「追い抜き」は法律上別物
2つの用語の法律上の違い
道路交通法上の「追い越し」は車線変更を伴う行為を指します。一方、車線変更をせずに同一車線内で前方の車両を先行して通過する行為は、法律上「追い抜き」と整理されます。
今回の改正が規制するのはどちらか
今回の第18条第3項が規制するのは、この「追い抜き」に相当する行為です。片側2車線道路で右車線に移って追い越す行為は別の条文が適用されます。日常的な走行で問題になるのは、狭い1車線道路で自転車の右をすり抜けていくケースです。
狭い道で自転車に追いついたらどうするべき?
基本は「後方で待つ」
十分な距離が確保できない場合は後方で待つという選択があります。狭い道路や危険な状況では、自転車の後ろで安全が確保できるまで待機することが求められます。
実際の道路で何秒待てばいいのか
自転車が自然に左に寄るタイミング、あるいは対向車が途切れて安全な幅が生まれる場所まで待つのが正解です。経験上、住宅街の細道で自転車の後ろについても、100m以内に広がりのある交差点かコンビニの駐車場入口が現れることがほとんどです。そこまで10〜15秒待てば、無理なすり抜けをせずに済みます。
後続車がクラクションを鳴らしてきたら
後続車がクラクションで急かしてきたとしても、法的義務を果たしているドライバーに落ち度はありません。焦って抜いた結果の接触は、当然ドライバー側の責任になります。
自転車に乗る人が知っておくべきこと
青切符制度が2026年4月から自転車にも適用
今回の改正のもう一本の柱が、自転車への青切符(交通反則通告制度)の導入です。2026年4月1日から、16歳以上の自転車利用者による信号無視や一時不停止などの違反が反則金の対象になります。

これまでの取り締まり規模
2024年は全国でおよそ133万件の指導警告票が発行されています。これだけの件数が反則金の対象になり得る仕組みに切り替わったわけです。
自転車乗車中に今日から変えること
車道では道路の左端に寄って走る習慣をつけてください。これが追い越し時の事故を減らし、自身の違反リスクも下げます。
自転車の追い越しに関する注意点・トラブル対応
黄色実線(センターライン)がある道路での注意
黄色実線(中央線)は単独で「車両の右側部分へのはみ出し通行禁止」を意味します。自転車を追い越すためにはみ出すことは原則として道交法違反となるため、そのような道路では後ろで待つ判断が安全です。
対向自転車とのすれ違いには今回の規定は適用されない
対向車線から来る自転車とのすれ違いには、今回の第18条第3項は直接適用されません。ただし対向自転車とのすれ違い時であっても、一般的な安全運転義務(第70条)は引き続き適用されます。
自転車の追い越しに関するFAQ
Q. 1メートルというのは絶対に守らなければいけない数字ですか
絶対値ではありません。「十分な間隔」や「間隔に応じた安全な速度」は自動車と自転車の走行状況や道路状況、交通状況などによって変わります。警察は距離・速度・危険性を総合的に見て違反を認定するため、「1m空けたから絶対セーフ」とは言えません。
Q. 自転車が道路の中央寄りを走っていても、自動車が減速しなければいけないのですか
はい、自動車側の義務は自転車の走行位置に関係なく生じます。ただし自転車が左に寄る義務を怠っていた場合、事故の過失割合の算定で自転車側の責任も問われます。両方が義務を持つ仕組みです。
Q. バイクも同じルールが適用されますか
バイクも対象です。道路交通法第18条第3項は「特定小型原動機付自転車等を除く車両」に適用されるため、自動二輪や原付(一般原動機付自転車)はこの義務を負う対象に含まれます。たとえば原付で自転車の右をすり抜ける場面も、間隔と速度の義務が生じます。接触事故を起こせば反則金7,000円・違反点数2点に加え、悪質と判断されれば刑事手続きに移行します。
Q. 自転車側が左に寄らなかったときの反則金はいくらですか
反則金は5,000円です。自転車の交通違反は運転免許の点数に影響しません。これは政府広報オンラインにも明記されており、道路交通法第18条第4項に基づく「被側方通過車義務違反」として処理されます。たとえば幹線道路の左車線を中央寄りに走り続けていた場合、追い越そうとした自動車との接触時に過失が問われる根拠になります。
Q. 追い越し禁止標識のある場所でも自転車を追い越せますか
センターラインのはみ出し禁止と追い越し禁止は別の規制であり、黄色実線の道路では自転車を追い越すためのはみ出しも原則違反とされています。安全が確保できるまで後方で待つのが無難な判断です。
まとめ
2026年4月1日から、自動車が自転車の右側を通過する際の義務が初めて明文化されました。側方間隔の目安は1m以上(余裕があれば1.5m)、確保できない場合は時速20〜30kmへの減速が必要です。違反すれば反則金7,000円・違反点数2点、悪質なケースでは刑事罰もあります。
自転車側も左端に寄る義務を負い、怠ると反則金5,000円の対象です。「ぶつからなければいい」という感覚の追い越しが、今後は罰則と直結します。法律が変わったから動くのではなく、自転車が「後ろで待たれるべき存在」として道路上に位置づけられた、という認識で事故を減らすことができるでしょう。
出典・参考資料
- 警察庁「自転車の新しい制度」(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/portal/system.html)
- 我孫子市「自動車等が自転車等の右側を通過する場合の新ルールについて」(https://www.city.abiko.chiba.jp/kurashi/kotsu_douro/anzen/road.html)
- 政府広報オンライン「2026年4月から自転車の交通違反に『青切符』を導入!何が変わる?」(https://www.gov-online.go.jp/article/202410/entry-6604.html)

