コーヒーが持つ成分にはダイエットへの効果があり、「コーヒーダイエット」という言葉も生まれています。
しかし、ただ飲むだけで痩せられるというものではありません。
コーヒーだけを飲んだり、大量に飲んでしまうと逆に太ってしまうということにもなりかねません。
ダイエットに適した飲み方と適切な量を飲んで、ダイエットに励むことで、その効果を高めることができるのです。
本記事では、どうしてコーヒーを飲むことが痩せることにつながるのかという理由から、ダイエットに合わせた飲み方やタイミングを解説していきます。
コーヒーを飲んでなぜ痩せる?その理由とは
どうしてコーヒーを飲むことが痩せることにつながるのでしょうか?
それには、コーヒーが持つ「カフェイン」と「クロロゲン酸」という2つの成分が主に関係しています。
ただ、飲むだけで痩せるというわけではありません。
「コーヒーで痩せる」というのは、飲んだ後に運動などを行うことで、より効果的にダイエットすることができるという意味になります。
ではまず、この2つの成分がダイエットにどのような影響をもたらしてくれるのかを解説します。
カフェインによる基礎代謝の向上
コーヒーだけでなく、紅茶などにも多少含まれているカフェインには、身体の基礎代謝を高める効果があります。
このメカニズムとしては、カフェインを取ることで、体内の消化酵素である「リパーゼ」が活性化して、体脂肪を分解してくれます。
体脂肪は分解によって「遊離脂肪酸」と「グリセリン」というエネルギーの素となり、これが用いられて代謝の改善につながるという仕組みです。
リパーゼによる体脂肪の分解効果に加え、基礎代謝を上げることで、ダイエットの効果を向上させることができます。
クロロゲン酸による脂肪消費量の増加
コーヒーの材料であるコーヒー豆には、ポリフェノールの一種である「クロロゲン酸」が多く含まれています。
じゃがいもやナス、ごぼうなどにも含まれていますが、クロロゲン酸は「コーヒーポリフェノール」と呼ばれることもあるほど、コーヒーには豊富に含まれる成分です。
ポリフェノールには、脂肪の吸収を抑えて燃焼しやすくする効果があります。
クロロゲン酸もポリフェノールのひとつですので、もちろんその効果を持っているほか、カフェインとの相乗効果でより効果的に脂肪を燃焼しやすくなるのです。
ダイエット効果を高めるコーヒーの飲み方

上記の2成分があることから、コーヒーはダイエット時に適した飲み物になりますが、飲み方によってはその効果を薄めてしまいます。
ダイエットのために飲むのであれば、適した飲み方・より効果的な飲み方をすることが必要です。
飲むならブラックコーヒー
脂肪燃焼効果のあるコーヒーですが、苦味を抑えるために砂糖や牛乳を混ぜてしまうと、その分カロリーが増えて脂肪がついてしまいます。
そのため、何も混ぜないブラックコーヒーで飲むことをおすすめします。
もしコーヒーの苦味が苦手である場合には、砂糖をティースプーン1杯にするなどしてなるべく抑え、牛乳も「低脂肪牛乳」や「無脂肪牛乳」もしくは「コーヒーフレッシュ」などに切り替えるようにしましょう。
ちなみに、コーヒーにバターを加える「バターコーヒー」というものもあります。
バターコーヒーダイエットというのもありますが、これは朝食で摂取する分のカロリーをバターコーヒーで代わりに摂ることで抑えたり、「グラスフェッドバター」という一般で市販されているものとは少し異なったバターを用いて脂肪の吸収を抑制したりすることで効果があるものです。
単純に市販のバターを混ぜて作るといったものではないので、バターコーヒーによるダイエットを行う場合には注意してください。
アイスよりもホットで代謝をキープ
コーヒーに限らず、冷たい飲み物を飲むと体温が下がってしまい、代謝もまた下がってしまいます。
せっかくの効果も弱まってしまうので、コーヒーを飲む際もホットで飲むようにしましょう。
温度としてはカフェインやクロロゲン酸などのポリフェノールがより効果的に働く80℃前後が良いとされています。
ただ、必ずしもその温度で飲まなければいけないわけでもないので、なるべく温かい状態で飲むことを心がけることで問題ありません。
インスタントよりもドリップの方が良い
市販のインスタントコーヒーや缶コーヒーよりも、ドリップコーヒーの方がダイエットには適しています。
カフェインの含有量は大きく変わらない・もしくは多少インスタントコーヒーなどの方が少ないことが多いですが、カロリーで考えるとドリップコーヒーの方が少なくなっています。
インスタントコーヒーはその製造過程でコーヒー液を濃縮させていることからカロリーが増え、缶コーヒーにはたとえブラックであっても、砂糖が多く含まれているためです。
自宅でドリップする分には手間や時間がかかってしまいますが、最近ではコンビニでも豆から挽いたコーヒーを手軽に購入できるようになっているので、活用するようにしましょう。
コーヒーを飲むタイミングはいつ?

コーヒーを飲んで痩せるためには、飲み方だけでなく、「いつ飲むか」というタイミングも重要になります。
コーヒーには脂肪の吸収を抑えたり、燃焼させたりすることに効果があるため、普段の生活やダイエットにおける行動で関わるタイミングに飲むのが最適です。
主にどのようなタイミングがあるのか、主な例を2つ紹介したいと思います。
食後30分以内で脂肪の吸収を抑える
「食後にコーヒーを飲む」という習慣がある人もいるかもしれませんが、これはダイエットにおいて適したタイミングの一つです。
食事をした直後に飲むことで、その食事で摂取した脂肪分の吸収を抑えることができます。
可能であれば、食後すぐがベストですが、長くても30分以内にコーヒーを飲めば、脂肪吸収の抑制効果を得られるとされています。
また、食後のコーヒーを習慣づけておくと、食事の区切りであるというサインを脳が理解してくれるかもしれません。
例えば、つい食べ過ぎてしまうという人の場合、腹八分目でコーヒーを飲むという習慣にすると、食事量を制限しやすくなるでしょう。
運動前や入浴前で脂肪燃焼効果を高める
基礎代謝や脂肪燃焼効果の効果を持つカフェインを摂取したうえで、運動や入浴を行うと、その効果をさらに高めることができます。
カフェインには、心拍数の増加、血管の収縮・拡張を誘導・脂肪分解作用の促進などの働きを持つ「アドレナリン」と「ノルアドレナリン」というホルモンを促進させるという効果もあり、これらのホルモン分泌が促進されることで、運動や入浴におけるエネルギー消費のパフォーマンスを上げることができるとされています。
ただ、飲んですぐに運動したり入浴したりするのではなく、カフェインが体に行き渡ってからの方が良いでしょう。
カフェインを摂ってから30分ほど経つとカフェインの血中濃度がピークとなり、その状態が4時間続くとされていますので、その間に行動するのが最も効果的になります。
コーヒーを飲んでも太る危険な飲み方
「飲み方やタイミングを守っているのに、逆に太ってしまった」という声も少なくはありません。
コーヒーはダイエットに良い影響を与える飲み物ですが、飲みすぎによって逆効果になります。
また、タイミングは正しかったとしても、その他の行動に影響を及ぼしてしまったということもあるでしょう。
次から解説する内容については、特に注意する必要があります。
夜に飲んで睡眠不足になる・睡眠の質が低下する
睡眠時には体内で「成長ホルモン」が生成されますが、この成長ホルモンにも脂肪の燃焼効果があります。
しかし、コーヒーを飲むことで睡眠時間が短くなる・もしくは浅い睡眠になってしまい、十分な量の成長ホルモンが生成されなくなってしまい、逆に太ってしまうということがあります。
コーヒーを飲んでも寝ることができるという人もいるかもしれませんが、コーヒーの覚醒作用によって脳が興奮状態で稼働し続けているため、睡眠の質は確実に落ちています。
いくらコーヒーにも脂肪燃焼効果があるとはいえ、飲まないことによって成長ホルモンの効果で消費できていた脂肪の分を超えるものにはなりません。
日中にコーヒーを飲んでパフォーマンスを上げた運動を行い、夜はきちんと良質な睡眠を取るというのが効率の良いダイエットになると思われますので、寝る前のコーヒーは控えてください。
飲みすぎによるカフェインの過剰摂取
カフェインが分泌を促進するホルモンには、「コルチゾール」というものもあります。
このホルモンは普段、ストレスを感じたときに分泌が増える「ストレスホルモン」の一種で、食欲を抑制する効果などを持つ「セロトニン」の分泌を抑えてしまいます。
これにより、コーヒーを飲むと余計に食欲が増してしまい、食事量が逆に増えてしまう可能性があります。
もし我慢したとしても、余計に心身がストレスを感じてしまい、最終的にドカ食いしてしまったなどの悪循環に陥ってしまうこともありえるでしょう。
過剰摂取にならないカフェインの量というのは、人それぞれで異なるために定まってはいませんが、さまざまな国際機関において、ある程度の目安が提示されています。
「HC(カナダ保険省)」と「FDA(米国食品医薬品局)では健康な成人が1日に摂取しても問題ないとするカフェイン量の目安を400mgとしており、コーヒー3~4杯で摂取できる量になります。
カフェインには依存性もありますので、普段からこの目安を超えてしまっているという人もいるかもしれません。
ただ、ダイエットには逆効果ですので、せめてカフェインが少ない緑茶などに切り替え、過剰摂取にならないように調整していきましょう。
適切な量と飲み方で、効率的なコーヒーダイエットを
コーヒーには確かにダイエットに向いた効果があります。
ただ、飲み方や量によっては逆効果となってしまう可能性も存在します。
特にカフェインを大量に摂取することでホルモンバランスを崩してしまったり、就寝前に飲んで眠れなくなったりすることのデメリットは大きいと思われますので、注意する必要があるでしょう。
また、ただ飲むだけで痩せるというものではありません。
あくまでコーヒーはダイエットの効果を上げるための飲み物であるという考え方を持って、改めてコーヒーを組み込んだダイエットを進めることをおすすめします。