引越しって何度経験してもバタつきますよね。新居選びに引越し業者選び、家具選びなど、たくさん決めなければいけないことがあるなかで、忘れていませんか?不用品処分。
日用品から家具、家電まで、普段捨てないような大きい物を含む引越し時の不用品処分は、通常のごみ捨てとは異なり、すぐ簡単にできるものではありません。加えて、法律で捨ててはいけないものも定められていて、案外ややこしいものです。
今回は、引越し時の不用品処分がもれなく、正しく、スムーズにできるように、8パターンの処分方法や業者について紹介します。あなたが処分したい不用品と照らし合わせながら、最適な処分方法を探してみてくださいね!
処分前にチェック! 不用品の分類
「とりあえず自治体や不用品回収業者に全部おまかせ」と思っている方、ちょっと待ってください! 実は、不用品には分類があり、ルールに沿って処分しないと法律違反になってしまうこともあるんです。ここでは、不用品を大きく3つに分けて解説します。
日用品
不用品といえば家具や家電などの大きなごみをイメージする方が多いかもしれませんが、普段から捨てるような紙くずから、本、ペットボトル、段ボールなど、あらゆるものが含まれます。粗大ごみ以外のものは、基本的に自治体が定める分別方法で、指定日に処分しましょう。たいていの場合、可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみなどの指定日はそれぞれ分かれています。
しかし、引越しのタイミングは慌ただしく、指定日にごみを少しずつ処分していく作業はかなり手間がかかるもの。引越し数日前に分別しはじめても処分しきれない可能性があるため、計画的に進めましょう。間に合わない場合は、日用品の回収にも対応している不用品回収業者に任せるのもひとつの手です。
粗大ごみ
粗大ごみとは、一辺の長さがおよそ30cm以上の家具や寝具、家電などを含む、「大きなごみ」のことです。たとえば、ベッドやテーブル、食器棚や自転車などが挙げられます。これらは不用品回収業者や引越し業者はもちろん、自治体でも有料で引き取ることが可能です。「粗大ゴミ処理券」を購入のうえ、引き取りをお願いしましょう。
なお、後述する「家電リサイクル法」で指定されている4つの粗大ごみは、自治体で回収することができません。処分しようとしているものが該当していないか、必ず確認しましょう。
家電リサイクル法の対象品
「家電リサイクル法」で指定されている4つの粗大ごみは、以下の通りです。
エアコン
テレビ
洗濯機(乾燥機)
冷蔵庫(冷凍庫)
この4つに当てはまる不用品は、ごみとして出すことや、自治体で回収することができません。家電量販店や一般廃棄物処理業の認可が下りている不用品回収業者 などに引き取りを依頼しましょう。
なお、家電リサイクル法の対象品にはメーカーごとに定められたリサイクル料金があり、無料回収はできません。「無料でテレビを回収します」などと謳う業者には注意しましょう。不法投棄や高額請求をする悪質な業者の可能性があります。
経済産業省でも注意喚起をおこなっているため、ぜひご参考ください
引越し時の不用品処分方法8選
具体的な不用品処分方法について、8パターンに分けて紹介します。不用品の種類や状態によっては、無料で処分できるものや、買い取りなどでお金になるものもあるため、「捨てる」以外の選択肢も視野にいれつつ、チェックしていきましょう。
不用品のおトクな処分方法については、こちらの記事でも紹介しています。
引越し時に不用品を処分する方法はさまざまあります。一言で不用品といっても粗大ごみや家電など種類によって最適な処分方法が変わってきます。どのような方法があるのか事前に把握するようにしましょう。
- 引越し業者に買い取り/引き取りを依頼する
- 不用品回収業者に買い取り/引き取りを依頼する
- 宅配回収サービスを活用する
- 自治体に粗大ごみ回収を依頼する(家電リサイクル法対象外品のみ)
- 解体のうえ普通ごみとして出す(家電リサイクル法対象外品のみ)
- リサイクルショップに持ち込む
- フリマアプリやネットオークションに出品する
- 友人や知人へ譲る
①引越し業者に買い取り/引き取りを依頼する
引越し業者の不用品回収サービスは、「引越しと不用品回収を同時に済ませたい」と思っている方にぴったり。引越し時はさまざまな業者と同時進行で連絡や見積依頼をおこなうことになると思います。引越し業者が不用品回収も請け負ってくれることで、煩わしい連絡を1つでも減らせるのは精神的にもラクかもしれませんね。
ちなみに、引越し代金に+αのオプションサービスとなるため、専業でやっている不用品回収業者と比べれば安価な場合が多いです。
しかし、すべての引越し業者が不用品回収をおこなっているわけではありません。家電リサイクル法対象品だけ回収できる業者、逆に、家電リサイクル法対象品は回収できない業者、引き取りだけでなく買い取りもできる業者など……対応は各社さまざまです。依頼する予定の引越し業者はどこまでの対応をしてくれるのか、公式サイトなどでよく確認しましょう。
②不用品回収業者に買い取り/引き取りを依頼する
不用品回収業者は、「粗大ごみから小さなごみまで回収しに来てほしい」と思っている方にぴったりのサービス。引越し業者に通常の可燃ごみなどを回収してもらえる可能性は低いですが、不用品回収業者は内容を問わずどんなものでもトラックに積める限り引き取ってくれるところが多いです。
家電リサイクル法対象品を引き取ってもらいたい場合は、その不用品回収業者が一般廃棄物処理業者かどうかチェックしましょう。なお、費用は引越し業者の不用品回収オプションと比べて高くなる傾向にあります。
ちなみに、筆者が引越しをした際は、ごみはまとめて不用品回収業者へ処分を依頼しました。引越しの片づけをするなかで、日用品ごみや小さな紙くずなどのごみは思いのほか出てくるものです。そのような「粗大ごみでないもの」も一気に処分したい場合は、不用品回収業者を活用するとよいでしょう。
③宅配回収サービスを活用する
宅配回収サービスは、「小物の不用品をまとめて処分したい、できれば高く売りたい」と思っている方にぴったり。自分で不用品を段ボールなどに詰めて、業者に回収してもらうシステムです。
業者によりますが、基本的には段ボールに詰められる小物の不用品がメイン。たとえば、パソコンやCD、DVD、本、衣類などです。ほとんどの場合、大型家具・家電は回収対象外であることを認識しておきましょう。
なお、多くの宅配回収サービスは買い取りもおこなっています。「捨てる予定だったものが思わぬ高額査定で儲かった! 」というケースもあるため、おトクに引越ししたい方は積極的に利用しましょう。
筆者も本やマンガの宅配回収サービスをよく利用します。引越し時でなくても、大掃除や季節の変わり目にこまめに処分していくことで、部屋がすっきりし、引越しするときもラクになりますよ。
④自治体に粗大ごみ回収を依頼する(家電リサイクル法対象外品のみ)
自治体の粗大ごみ回収サービスは、「できるだけ費用を抑えて家具などの粗大ごみを処分したい」と考える方にぴったり。引越し業者や不用品回収業者と比べれば、自治体サービスは費用が安い傾向にあります。
たとえば、大田区なら以下のような料金 です(2023年11月時点)。
空気清浄機:300円
ガスコンロ(3口用):900円
学習用椅子:300円
ベッド本体(シングルサイズ):1,300円
大田区の場合、最低300円からあらゆるジャンルの粗大ごみ回収が可能です。あなたの住む自治体の料金も確認してみてください。
申込方法は自治体ごとに異なるものの、基本的には電話やインターネットによる予約制です。コンビニやスーパーマーケットなどで販売されている各自治体の「粗大ゴミ処理券」を購入し、粗大ごみに貼り付けて予約日に指定場所へ出しましょう。
なお、自治体が粗大ごみとして回収できるのは家電リサイクル法の対象外品のみ。エアコン、テレビ、洗濯機、冷蔵庫の回収はできませんので、一般廃棄物処理業者に別途依頼しましょう。
⑤解体のうえ普通ごみとして出す(家電リサイクル法対象外品のみ)
粗大ごみを解体して普通ごみとして出す方法は、「手間がかかっても0円でごみ処理したい」と考える人にぴったり。自治体によって普通ごみのサイズ規定は異なるものの、一般的には30㎝以下と言われています。30cm以下まで解体したうえで、分別して可燃ごみや不燃ごみとして出しましょう。
なお、自治体によっては解体してあっても粗大ごみとして扱う場合があります。解体して処分したい場合は、自分の住む自治体ルールを事前に確認してみましょう。また、家電リサイクル法の対象品であるエアコン、テレビ、洗濯機、冷蔵庫も解体してごみとして出すのはNGです!
⑥リサイクルショップに持ち込む
リサイクルショップに持ち込む方法は、「いらなくなった家具・家電などをすぐに現金化したい」と考える人にぴったり。リサイクルショップによっては、衣類やおもちゃ、楽器など幅広い品物を買い取り対象としています。多くの場合、出張買い取りサービスもあるため、大きな家具は回収しにきてもらいましょう。
状態のいいもの、貴重なものであれば、想像以上に高い査定額となるケースもあり、思わぬ臨時収入が期待できるかもしれません。一方で、リサイクルショップは不用品処分の業者ではないため、買い取りができない品物は引き取ってもらえないケースも。不用品を処分していくなかで、あくまで「売れそう」だと思ったものを査定に出すようにしましょう。ごみや状態の悪い不用品、汚れた不用品などは、リサイクルショップで処分するのは難しいです。
⑦フリマアプリやネットオークションに出品する
フリマアプリやネットオークションに出品する方法は、「価値ある不用品に自分で値段をつけたい」と考える人にぴったり。リサイクルショップとは異なり、オークションなら自分で価値を判断のうえ、値段をつけて出品することができます。流行に乗った人気の品物や、マニアにとって価値の高いニッチな品物などは、オークションの値が吊り上がることもあるでしょう。
一方、購入者とのやりとりや梱包などの作業は、慣れていない人にとっては手間に感じるかもしれません。また、オークションは必ず落札されるとは限らないものです。出品してもなかなか買い手がつかず、引越し日を迎えてしまった……なんてことのないよう、計画的な処分をおすすめします。
⑧友人や知人へ譲る
友人や知人へ譲る方法は、「事情をよく知る仲間内で、不用品をラクにタダで処分したい」と考える人にぴったり。家まで回収しにきてもらえるか、ついでに引越しの手伝いもしてもらえるかなど……条件はあなたと友人の関係性や交渉次第。自治体や業者のような申込のわずらわしさはないぶん、すべてはコミュニケーションで決まっていきます。
事前に「近々引越しするんだけど、いらない家具があってさ~」などと仲間内で話題に出しておけば、「譲ってほしい」と声がかかるかもしれません。なお、プロの業者を介したやりとりではないぶん、トラブルは自分たちで解決する必要があることは留意しましょう。
引越し業者と不用品回収業者の違いとメリット・デメリット
前章で紹介した8つの不用品処分方法のなかでも、とくにメジャーなのは引越し業者や不用品回収業者を活用する方法。「自分はどちらのほうがいいのか」と悩む方のために、この2つにフォーカスして違いやメリット・デメリットを紹介します。
引越し業者と不用品回収業者の違い
引っ越し業者と不用品回収業者の主な違いは次のようになります。
あくまで引越し業がメイン。引越しサービスの利用を前提として、オプション的に不用品回収や買い取りサービスをおこなっている場合もある。
不用品回収サービスを専門としている業者。ほとんどの場合、引越しサービスなどはおこなっていない。
【引越し業者と不用品回収業者のメリット・デメリット早見表】
項目 | 引越し業者 | 不用品回収業者 |
---|---|---|
コストパフォーマンス | 〇※引越し費用とセット前提 | △ |
見積のラクさ | 〇※引越し見積とセット前提 | × |
引越し当日のラクさ | ◎※引越し時に一緒に回収 | × |
買い取り対応 | △※業者による | △※業者による |
回収できるもののバリエーション | △ | ◎ |
引越し以外のタイミングでの依頼 | × | 〇 |
引越し業者に不用品回収を依頼する最大のメリットは、「引越しとセット」であることと言えるでしょう。引越しとセットだからこそ、安価な価格でまとめて見積ができ、引越し当日に一気に回収してもらえます。その一方、回収できないものがあることや、引越し以外のタイミングでの依頼ができないことがデメリットと言えます。
一方、不用品回収業者のメリットは、いつでも頼めて、どんなものでも比較的回収してもらえるという点でしょう。引越しに限らず、大掃除でごみがたくさん出たときにも使えます。デメリットは、引越し業者に比べれば高値であることや、引越し業者と同時進行で調整するのは手間であることなどが挙げられるでしょう。
不用品処分の対応が可能な引越し業者例
「引越しとセット」でおトクな引越し業者の不用品回収サービス。会社によって対応の有無や範囲は異なりますが、ここでは引越し大手3社の例を紹介します。あなたの地域の引越し業者についても、同じような観点でチェックしてみてください。
項目 | トレファク引っ越し | サカイ引越センター | アリさんマークの引越社 |
---|---|---|---|
不用品引き取り | 〇 | 〇 | 〇 |
不用品買い取り | 〇 | 〇※一部地域 | × |
NG品目 | 買取不可の処分も対応。詳しくは見積もり時に問い合わせ。 | 家電リサイクル法の対象品以外(粗大ごみや普通ごみNG) | 生ごみ等の生活ごみ、スプレー缶やガスライター、マッチ等の危険物などはNG |
大手でも一切不用品回収サービスをおこなっていないところから、買い取りまでやっているところまでさまざまです。「不用品を回収できる引越し業者がマスト」と考えている場合は選択肢が限られますので、早めのご準備を!
引越し時の不用品処分は早めの準備が大切!
今回は引越し時の不用品処分方法について、8つのパターンと業者の例などを紹介しました。業者に頼む場合も、フリマに出す場合も、友人に譲る場合も、大切なのは早めの準備! 本格的な引越し作業に入る前に少しずつ片づけをしながら、どこで捨てるのか、どこで売るのかなどを考えていきましょう。
特にこれから年度末にかけては引越しのハイシーズンです。予約が取りにくい時期に入る前に、気になることは各業者に問い合わせてみてください。