2020年頃から広がり始めた新型コロナウイルスは、私達の生活を大きく変えました。しかし、リモートワークなどコロナ禍だからこそ広まったものや生まれた言葉が存在することも確かです。
その中でも今回紹介するのは「ワーケーション」という新しい働き方。このワーケーションとはどういう働き方なのでしょうか?
そして、メリットやデメリットはどのようなものがあり、今後日本で広がっていく可能性はあるのか。この記事で詳しく説明していこうと思います。
ワーケーションの意味

ワーケーションとは、仕事という意味の”Work(ワーク)”と休暇という意味の”Vacation(バケーション)”が合わさってできた造語のことであり、リゾート地や地方の観光地など、職場でも自宅でもない場所で働きつつ休暇取得を行う仕組みのことです。
リモートワークが浸透してきたからこそ生まれた働き方であり、心身の健康と生産性を両立出来る働き方として注目されています。
ここで勘違いされやすいのは「休暇中に働くの?」ということ。安心してください。リゾート地であっても観光地であっても、働いた分の給料はしっかりと支払われます。
休暇中でも、仕事ができる環境を整えれば働いた時間は勤務時間と数えられるため、無休で働くわけではないということだけはしっかりと抑えておきましょう。
企業も働き方改革の一環としてワーケーションを取り入れる動きを見せており、興味がある人は今一度体験してみていただきたい働き方です。
ワーケーションのメリット5選

それでは、リゾート地や観光地で仕事ができるという夢のような働き方である、ワーケーションのメリットを5つ紹介しましょう。
(1)長期休暇を取る必要がない
日本は常に有給の取得率の低さが問題とされています。その理由として長期休暇が取りにくいという理由が挙げられますが、ワーケーションを行う場合、長期休暇を取る必要なくレジャーや旅行を楽しむことができます。
通常、レジャーや旅行に行くために長期休暇を取ろうと思うと、業務や取引先とのスケジュール調整、会議の有無など事前準備がかなり大変なため、計画を立てづらいということがありました。
しかし、ワーケーションであれば旅行先で仕事ができるため、まとめた長期休暇を取る必要はありません。例えば土日と併せて1日間の休暇取得をした際、1日目は宿泊先でワーケーションを行い、2日目~3日目はゆっくりと旅先で休暇を楽しむということが可能になります。
(2)心から休暇を楽しめる
長期休暇での旅行では楽しい半面、心のどこかでは休暇明けの仕事量や自分の代わりに頑張っているだろう同僚のことを思い浮かべ、心置きなく楽しめなかったという経験をした人もいるのではないでしょうか?
ワーケーションでは普段どおり仕事をこなしつつ短期の休暇を取るため、思いっきり休暇を楽しむことが出来るでしょう。
(3)気分転換をしながら仕事ができる
仕事場や自宅で黙々と仕事するよりも、いつもと違う環境や自然を身近に感じながら仕事を行うことで、普段ではできない気分転換を行うことができます。
特にアイデアを出さなければいけない関係の仕事の場合、普段の環境や人間関係を離れ新しいものに触れることで、新しく斬新なアイデアが生まれることもあるでしょう。
(4)家族との時間が増やせる
働いているママさんやパパさんにとって、仕事がある日はなかなか子どもとのコミュニケーションが取れないという悩みを持っている人は多いでしょう。
「旅行に行きたいけどここ数年旅行に行けていない…」というのは、子どもだけではなく両親もストレスが溜まってしまうものです。
しかし、ワーケーションを利用すれば仕事をしながらも家族と旅行に出かけることができるため、家族との時間をよりたくさん取ることができます。
(5)自分にあったワークライフバランスが実現できる
長時間労働などの問題を解決すべく、国や企業は残業時間を減らし休暇を取りやすくなるように日々努力を行っています。
ワーケーションもその一つとされており、働き方の自由度が増すと自分なりの働き方や生活を実現することができます。
また、リモートワーク同様ワーケーションも通勤時間がなくなるため、ストレスの軽減やプライベートが充実されることで、仕事のパフォーマンス向上が期待されているようです。
ワーケーションのデメリット3選

良いことばかりのようなワーケーションですが、もちろんデメリットも存在します。ワーケーションのデメリットは、フリーランスやリリモートワークと重なる部分が多いです。
ここからは、ワーケーションのデメリットを3つご紹介します。
(1)生活のメリハリがなくなることがある
フリーランスやリモートワークの際にもデメリットとして挙げられることが多いのが「生活のメリハリがなくなること」です。
ワーケーションは、旅行先などから仕事を行うため”仕事”と”休暇”の境目が曖昧になりがちです。ここをきっちり分けたいと思う人にとっては働きにくいかもしれません。
また、メリハリがなくなることで生活習慣が乱れる場合が多く、昼夜逆転生活になってしまう可能性もあります。
(2)社内コミュニケーションが減る
ワーケーションはどこで仕事するかが大きな違いであり、リモートワークと似ている部分が多いです。
オフィスに出勤しないため、旅行先のホテルや旅館にこもってしまうと誰とも顔を合わさない状況になる場合もあり、コミュニケーションを取る機会が著しく減ります。
社内のちょっとした雑談などもなくなるため、社内コミュニケーションが減ることは上司部下の関係を築く際には大きなデメリットなるかもしれません。
(3)セキュリティ面など導入に時間がかかる
ワーケーションはパソコンやインターネット回線があればすぐにできる!というわけではありません。旅行先でも仕事を行うため内容によっては機密事項に該当することもあるでしょう。
そうなるとセキュリティ問題も重要になるため、なかなかすぐに導入ということは難しいケースもあるでしょう。
日本でワーケーションが広まらないとされる2つの理由

国や企業はワーケーションを推進していますが、一方日本では「ワーケーションはあまり広がらないのでは?」ともささやかれています。それはなぜでしょうか?
リモートワーク導入後は色々とルールがある
コロナ禍でリモートワークが急速に広がったものの、その際にいくつかのルールが定められる場合がほとんどです。
そのルールというのは仕事をする場所の指定。多くの会社がリモーリワークをする場所をコワーキングスペースまたは自宅のみとしています。
セキュリティ面など理由は様々あるようですが、日本に根付いた働き方という概念から、年長者の多い会社では理解を得にくい働き方であることは間違いありません。
パフォーマンスが上がらないという誤解がある
ワーケーションのメリットとして、自分にあったワークライフバランスが実現できるため仕事のパフォーマンスが向上するとお伝えしました。
しかし、会社上層部としては「本当に向上するのか」「怠けたりしないか」という不安があるようです。
NTTデータ経営研究所、JTB、JALが連携して行った実験によると、たしかにパフォーマンスは上がっていることが証明されました。ただ、実験結果が全てではないため会社への理解を得るにはまだまだ時間がかかるでしょう。
面白い働き方ではあるものの日本で浸透するには課題が多い

ワーケーションはこのコロナ禍で生まれたとても面白い働き方です。ただ、日本でこの働き方が浸透するにはセキュリティ面や考え方という面でかなり課題が多いことは間違いありません。
しかし、国も企業も前向きに導入を検討しているので、今後どのような動きになるのか楽しみですね。


