いきなりですが「キャッシュレス・ポイント還元事業」って知っていますか?
2019年10月1日の消費税引き上げにともない、日本政府が国をあげて大規模に乗り出したキャッシュレス決済を対象にポイントが還元される制度のことです。
実は、この「キャッシュレス・ポイント還元事業」、これからますます拡大していくと言われており、ユーザー数も対応店舗数もどんどん右肩上がりという状況に!
そこで今回は「そもそもキャッシュレス・ポイント還元事業ってなに?」 という疑問をはじめ、ポイント還元が受けられる店舗の紹介、そして「キャッシュレス・ポイント還元事業」がもたらすメリットとデメリットについて、消費者・店舗・カード会社それぞれの立場からご紹介していきたいと思います。
さらに、この制度が導入してなにが変わる(変わった)のかなど詳しくは知らない…といった方向けにも、その背景についても細かくお伝えできたらと思います。特に「まだキャッシュレスを使ったことがない」という人は必見です。
キャッシュレス・ポイント還元事業とは?
はじめに、そもそも「キャッシュレス・ポイント還元事業」というのがどういうものなのか、解説していきますね。
キャッシュレス・ポイント還元事業の基本概要
キャッシュレス・ポイント還元事業とは、2019年10月1日に消費税の引き上げが行われたことにともない、政府が打ち出した経済政策です。
キャッシュレスとは「紙幣や硬貨といった現金を使わず、クレジットカードや電子マネー、口座振替などを利用して、支払い・受取を行う決済の方法」を意味します。
ポイント還元とは「キャッシュレス決済の利用料金に応じてポイントが返ってきて、そのポイントを利用できるシステム」のことで、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、電子マネー、QRコードなどによる決済がポイント還元対象になります。
例として、代表的なものを並べてみました。
種類 | 事業者(サービス例) |
クレジットカード | 三井住友カード(三井住友VISAカード)/JCB(JCB CARD W)/三菱UFJニコス(MUFGカード)/オリエントコーポレーションカード(Orico Card The Point)/ユーシーカード(UCカード)/楽天カード/NTTドコモ(dカード)…etc |
デビットカード | 三井住友銀行(SMBCデビット)/三菱UFJ銀行(三菱UFJ VISAデビット)/みずほ銀行(みずほJCBデビット)/りそな銀行(りそなVisaデビットカード)/楽天銀行(楽天銀行デビットカード)…etc |
ブランドプリペイドカード | Kyash(Kyashリアルカード)/カンム(バンドルカード)/LINE Pay(LINE Payカード JCB)/KDDI(au WALLETプリペイドカード)…etc |
電子マネー | 東日本旅客鉄道サービス(Suica)/楽天ペイメント(楽天Edy)/セブン・カードサービス(nanaco)/イオンリテール(WAON)…etc |
QRコード決済 | PayPay(PayPay)/メルペイ(メルペイ)/Origami(Origami Pay)/楽天ペイメント(楽天ペイ)…etc |
※上記は一部となり、その他多くのキャッシュレス決済サービスは存在します。
ポイント還元についてもう少し簡単に説明すると、消費税が増税して消費者が買い物しなくなっちゃうと困るので、キャッシュレス決済してくれたら増税した2%分、もしくはそれ以上の最大5%をポイントで還元します!というちょっと驚きの制度のこと。
【例】
税込金額が対象となるので、例えば 5%ポイント還元の店舗で税込10,000円の商品を購入する際、現金支払いではなくキャッシュレス決済を行った場合は、500円分のポイント還元が行われるという計算となります。(決済を行った方法によって還元方法は異なります)
還元の上限額はあるのか?
細かく説明すると、政府が実施しているポイント還元事業の制度としては、上限額は設けられていません。しかし、決済方法によってそれぞれ還元の上限額が決められているので、ご自身の利用する決済方法の上限額を確認しておきましょう。
種類 | 還元限度額 |
クレジットカード | 1枚につき15,000円 |
デビットカード | 1枚につき15,000円 |
ブランドプリペイドカード | 1枚につき15,000円 |
電子マネー | 1回あたりの上限はチャージ限度額=還元上限 |
QRコード | 各社が設定 |
※詳細は各サービスの公式サイトでご確認ください
いつまで実施しているのか?
「キャッシュレス・ポイント還元事業」は、期間限定の実施となります。
2019年10月1日から9ヶ月間、つまり2020年の6月30日までとなっています。
なぜキャッシュレス・ポイント還元事業を行うのか?
先程ざっくりと説明しましたが、詳しく言うと、まず消費税の増税にともなって消費者が物を購入することをしなくなっていく「買い控えを防ぐこと」が最大の目的です。いわゆる「需要平準化(需要変動の平準化)」と呼ばれるものですね。
前回(2014年4月1日以降)、5%から8%への増税後に消費者による需要の下落が一気に発生したという反省に基づいており、国はこの制度の為に2,800億もの予算を投じています。
※以下の表は消費税率変動の歴史となりますので、ご参考まで。
元号 | 西暦 | 消費税率変動(月日) |
昭和63年 | 1988年 | 消費税法が成立 |
平成元年 | 1989年 | 3%(4月1日以降) |
平成9年 | 1997年 | 5%(4月1日以降) |
平成26年 | 2014年 | 8%(4月1日以降) |
令和元年 | 2019年 | 10%(10月1日以降) |
もう1つの理由は、2020年の東京オリンピックに向けて、国内のキャッシュレス化を推進することで、「外国から来た人々の買い物の利便性をアップしたい」という目的です。
実は、日本は「キャッシュレス後進国」といわれていることもあり、今後インバウンド事業(※)に力を入れていくためにもキャッシュレスが普及していくことは国の大きな課題の1つなのです。
インバウンドとは、外側から内側へ・内向きに、といった意味があり、ここでいうインバウンド事業とは「日本に入ってくる=訪日外国人観光客」の消費活動を促す事業のことを指す。(対義語:アウトバウンド)
ポイント還元が受けられるお店ってどこ?
それでは、実際にポイント還元が受けられるお店はどれくらいあるのか見てみましょう。
ポイントの還元が受けられる対象店舗は続々と増えており、経済産業省が管轄する下記のサイトがオススメ。各都道府県別にサービスを受けられるお店を確認することができます。
■利用可能な店舗一覧
https://cashless.go.jp/consumer/member-store-list.html
また、専用アプリを使って、近くで使えるお店を探す方法もあります。ピンポイントで調べられるので、わかりやすいのがポイントです。
■店舗検索アプリ
Google play
App store
還元率については業種によって異なりますが、定義として一番身近な小売業(中小・小規模事業者)の場合は 「資本金5,000万円以下・従業員数50人以下」の企業であれば5%還元の対象となる、とのことです。
ポイント還元の対象となる店舗の見分け方
キャッシュレス・ポイント還元事業の対象となるお店は、上記の経済産業省が管轄するサイトで確認でき、なおかつ還元率も確認できます。
しかし、「いちいち確認するのもめんどい!」「こんなの利用者にはわからん!」って思う方もいらっしゃるかもしれないですよね。そんな時は、実際にお店に行って確認する方法もあります!
キャッシュレス還元を実施しているお店には、下記のマークが入ったポスターやステッカーが提示されています。
もし「このお店はキャッシュレス還元対象なのだろうか…?」と思ったら、このマークが目印なので、お店の入り口など目立つところを探してみてください。
キャッシュレス・ポイント還元事業 | |
実施時期 | 2019年10月1日~2020年6月30日(増税開始から9ヶ月間) |
内容 | 対象となる加盟店でキャッシュレス決済をすれば、2%or5%分が還元される |
対象 | ・中小企業・小規模事業者が運営する店舗でのキャッシュレス決済(5%還元) ・コンビニなどのフランチャイズチェーン店舗でのキャッシュレス決済(2%還元) |
キャッシュレス・ポイント還元事業のメリット
ここでは、具体的に「キャッシュレス・ポイント還元事業」がもたらすメリットを「消費者」「店舗」「カード会社」「国」別にご説明します。
消費者のメリット
ポイント還元を受けることができる
消費者のメリットはそのまま「たくさんポイントがもらえる」ということにあるでしょう。
ちなみに「キャッシュレス・ポイント還元事業」は国の事業なので、カード会社のもともとのポイント還元にプラスαして受けることができます。
さらにキャッシュレス決済サービスでは独自にキャンペーンを実施しているところもあり、「キャッシュレス決済利用で+◯%ポイント還元!」といった内容の場合、さらにポイントを受けることも可能。ダブル、トリプルの恩恵が受けられることもある、というわけです。
※この内容については、後ほど「5%以上のポイント還元を受ける方法がある…?」で詳しく説明します
キャッシュレスで買い物がスムーズに
キャッシュレスによって小銭のやりとりが減るため、買い物時のストレスが減ります。またキャッシュレス決済に対応しているお店に買い物に行く場合は、お財布を持たなくてもOK!なんてことも。ぐっと身軽になるという点も大きなメリットです。
店舗(事業側)のメリット
コストが削減できる
現金に関わる業務のコストは意外に大きく、つり銭の準備や、会計の集計には多くの人件費や時間を要しています。キャッシュレスになることで、これまでの現金にまつわる作業時間を大きく削減できるというメリット点があります。
集客が増える
キャッシュレス化が進むにつれて、消費者がキャッシュレス決済に対応している店舗を選ぶことが増えるということ。まずキャッシュレス対応をしているという店舗であることが、そうでないことに比べて圧倒的なアドバンテージになるといえるでしょう。
カード会社のメリット
まず、カード会社にとっては、消費者のデータ収集が容易になるということが大きなメリットの1つ。またキャッシュレスを促進することで、ユーザー数が増加するため、今後の利用者獲得に大きな意味を持っているといえます。
国のメリット
一番のメリットは、増税後の不景気の抑止力となることです。
さらに2020年の東京オリンピックをきっかけに、さらなる消費拡大が見込めるようになり、インバウンド事業や国内の経済を活性化できるというメリットがあります。
では、デメリットは?
キャッシュレスを実現するためには、スマホ決済の導入やクレジットなどのカード利用が前提となっています。
そのため、スマホを所持していない一部の人や高齢者など、利用できない層が出てくるというデメリットも考えられます。また、スマホ決済の場合は充電が切れてしまうと使うことができないこともデメリットの1つといえるでしょう。
5%以上のポイント還元を受ける方法がある…?
ここでちょっとお得情報を…!
「キャッシュレス・ポイント還元事業」の制度としては最大5%の還元率とされていますが、実は5%以上のポイント還元を受けられる方法があるのです。その方法とは QRコード決済とクレジットカードのW使い!!
どうやるのかというと、まずQRコード決済の支払い方法をクレジットカードに設定します。
QRコード決済の中には、一部クレジットカードを紐づけることができるサービスがあるので、クレジットカードの紐づけを行うと、QRコード決済を使用した分の金額がクレジットカード決済でチャージされる形になります。すると、QRコード決済を利用する度にクレジットカードの利用ポイントも同時に貯めることができるのです。
いわゆるポイントの二重取りが可能になるということです!
クレジットカードを登録できるおすすめQRコード決済とその特徴はこちら↓
種類 | 特徴 |
PayPay | 利用額の最大3%ポイント還元 ※支払い方法がYahoo!JAPANカード or PayPay残高 or Yahoo!マネーの場合。その他クレジットカードの場合は0.5%還元 |
d払い | 利用額の最大6%還元 ※通常、街のお買い物で0.5%、ネットのお買い物で1%還元だが、毎週金・土曜日に開催されるd曜日を活用すると対象店舗で最大6%還元となる |
OrigamiPay | ポイント還元はないが、指定店舗で2%割引などのキャンペーンを開催することがある |
【例1】PayPayの場合
Yahoo! JAPANカードを決済方法に登録すると、ポイント還元事業での還元5%+PayPay還元3%+Yahoo!JAPANカード還元1%=合計9%の還元を得ることができます!
【例2】d払いでのお買い物(通販)の場合
ポイント還元事業での還元5%+d払い還元1%+dカード還元1%=合計7%の還元を得ることができます!
d払いのパターンだと、PayPayより還元率は下がってしまいますが、貯まったdポイントをドコモサービスに限らず様々なショップやサービスで利用できるので、手軽に利用するならd払いも見逃せませんね。
d払いを利用するなら「dカード」がおすすめ
d払いのお支払い方法をdカードに設定してお買い物をするだけで、誰でもdポイントがWでゲットできちゃいます!(ポイント還元事業の還元を合わせるともっとお得に!)
そして、ドコモユーザーはさらにお得なことが!
ドコモユーザーさんでも知らない人がいるのですが、電話代の引き落としの際、通常のdカードで決済しても実はdポイントはたまらないんです。しかーし!dカードゴールドなら毎月の電話代の10%のdポイントが還元されちゃうのです。
さらに!カード発行はポイントサイトにも掲載中なので、カード発行はポイントサイトを経由して、さらに発行ポイントまで賢くゲットしちゃいましょう!
キャッシュレス・ポイント還元事業の振り返りまとめ
最後に、これまでの内容を振り返ってみましょう。
キャッシュレス・ポイント還元事業の内容
- 2020年9月まで限定の国の事業
- 最大5%の還元
- 増税後の景気対策
キャッシュレス・ポイント還元事業で得すること
消費者
・ポイントを受け取れる
・購入時スムーズになる
・支出の管理が楽になる
お店
・業務コストの削減
・時間の削減
・データ管理の容易化
・集客アップ
カード会社
・ユーザーの獲得アップ
・データ管理の簡易化
国
・不景気防止
・利便性に基づく経済効果
キャッシュレス・ポイント還元事業でお得な生活を!
キャッシュレス決済を行うことは、消費者にとってもお店にとってもお得が満載。なんといっても、決済サービスを利用する上での手数料などは無料で、誰でも簡単にはじめることができるのが大きなポイントです。
過去に「100億円あげちゃうキャンペーン」で話題になったPayPayや、国内大手NTTドコモが提供しているスマホQRのコード決済のd払いなど、キャッシュレス決済を選ぶときは様々なツールからチョイスできるのも楽しいですね。
また、各会社はそれぞれ還元サービスやキャンペーンを積極的に行っているため、「キャッシュレス・ポイント還元事業」以外にも、ポイントの還元を受けることが実質可能になるというわけです。
つまり、「キャッシュレス決済を行わない手はない」といっても過言ではありません。今のうちに、どの決済ツールが自分に合っているかを厳選し、まずは使ってみることをオススメします。
2020年6月までの間となりますので、ぜひ早めにスタートしてみてはいかがでしょうか。