中学校で習った英語が、教科書や参考書に書いてある単語や例文を覚えて答案に書くという、机に向かうばかりの英語学習だった方も少なくないでしょう。
その結果、人生の貴重な3年間を英語の学習に費やしたにもかかわらず、英会話となるとほとんどの日本人がしどろもどろになってしまいます。
英会話に必要とされる力は「話す力」と「聞く力」です。とくに話す力は重要で、話者自身が正しい文法で話せなければ、相手が発信する英文法を理解することも不可能となります。
この記事では、中学時代に本や参考書によって身につけた英文法の知識を英会話力につなげるために、これだけは押さえておきたいという英文法を紹介します。
英語学習と英会話における目的の違い
英会話で必要な英文法を紹介する前に、英語学習と英会話の目的の違いについて整理しておきましょう。
英語学習の目的
中学の義務教育で習う英語の目的は、実際に相手とコミュニケーションをとることよりも、テストで点数をとることにありました。
話す力と聞く力はそこまで重要視されておらず、読む力と書く力を重点的に磨いてきたのがこれまでの主流であった英語学習です。
英会話の目的
英会話の目的はコミュニケーションです。自分の思いを相手に伝えること、そして相手の思いを理解することが目的です。
英語学習をしてきた日本人は読み書きの能力はあるものの、コミュニケーションに必要な話す力と聞く力が不足しています。
英会話に文法は必要か？
英会話を学習していく上で文法が必要かどうかという点では、「文法が必要な英会話」と「文法を重視しなくてもいい英会話」に分けられます。
英会話すべてにおいて文法が必要だと思っていた方も少なくないと思うので、それぞれの違いも解説しておきます。
文法が必要な英会話
相手に思いを伝えるために文法は不可欠です。スポーツにルールが必要なように、言葉にとって文法はなくてはならないものです。
話し手がルールに従って情報を発信するという前提があるからこそ、聞き手は安心して話を受け止めることができます。
また、ビジネスの場や裁判など、時系列や事実を正確に述べることを求める場では、文法の守られた正しい英語を話せなくては、自分にとって不利になります。
文法を重視しなくてもいい英会話
挨拶をするときと質問に答えるときは文法を重視しなくてもかまいません。挨拶は、時間・場所・機会に応じて適切な言葉を述べます。質問に答えるときは要求されている情報が何かを把握さえできれば、YESかNOもしくは具体的な情報で答えることができます。
また、「英語を学習中である」「つたない英会話しかできないが話したいという意思はある」という状況であれば、文法が正しくなくとも聞き手が意図を汲んで聞いてくれれば会話は成立します。
しかし、現実の会話において挨拶と質問の返答だけでコミュニケーションが成立することは非常にまれです。些細な会話をするときにも、少なからず文法が存在していることが多くあります。
「文法が必要な英会話」で求められる文法7つ
英会話をする為に必要な文法ですが、基本的な文法を覚えることができれば、ある程度のメッセージを組み立てることができます。
ここからは、英会話学習のために最初に知っておくべき基本文法を7つ紹介します。中学校のときに習ったことを思い出しながら確認してみてください。
主語の次は動詞
英語には基本文型があります。５つの文型の共通点は、主語の次に動詞が来るという順番です。
ネイティヴの聞き手は「主語が来たら動詞が来るぞ」と無意識のうちに待ち構えています。なかには会話で伝えたいことを複雑に考えすぎて、黙り込んでしまう人もいます。
そんな時はできるだけシンプルに考えて、まずは主語と動詞だけの文で自分の意見を伝えましょう。
be動詞の否定文
be動詞の後にnotをつけると否定文になります。
◆例文
I am not busy.
You are not wrong.
She is not our teacher.
一般動詞の否定文
一般動詞の前にdon’tをつけると否定文になります。主語が三人称単数のときはdoesn’tをつけます。
◆例文
I don’t play baseball.
You don’t like octopuses.
She doesn’t have a smartphone.
be動詞の疑問文
be動詞を文頭において、文の終わりに疑問符（？）をつけると疑問文ができます。
◆例文
Are you busy?
Is he our new teacher?
Are they your brothers?
一般動詞の疑問文
Doを文頭において、文の終わりに疑問符（？）をつけます。主語が三人称単数のときはDoesを文頭におきます。
◆例文
Do you play baseball?
Do you like octopuses?
Does she have a smartphone?
6W1Hの疑問詞
疑問詞を文頭において疑問文をつなげます。
◆例文
Why are you so busy?
Who is our new teacher?
Which do you like, octopus or squid?
Where does he play baseball?
過去の文
動詞を過去形にします。不規則動詞に注意しましょう。
◆例文
I was busy yesterday.
You were our teacher.
He played baseball yesterday.
She had a smartphone.
「文法を重視しなくてもいい英会話」で抑えるべきポイント3つ
先ほどは英会話をする為に必要な文法について紹介しましたが、ここからは文法を重視しなくてもいい英会話について詳しく紹介していきます。
挨拶
挨拶は文法が必要ありません。相手の目を見て笑顔で挨拶しましょう。
◆例文
Hello. / Hi.
Good morning. / Good afternoon./ Good evening.
Bye.
YES/NO疑問文の返答
YesかNoで答えれば会話は成立します。ただし、無愛想な印象を与えないためにも丁寧な答え方のほうが望ましいです。
◆例文
Are they your brothers?
Yes, they are. / No, they aren’t.
Does she have a smartphone?
Yes, she does. / No, she doesn’t.
6W1Hの疑問文の返答
文頭の疑問詞を聞き逃さないようにしましょう。具体的な情報を答えます。
◆例文
Why are you so busy?
Because of much homework.
Where does he play baseball?
At the baseball park.
英会話で必要な文法の勉強法7つ
英会話で必要な基本的な文法がわかったところで、「何からどうやって勉強すればいいのか？」と出だしから躓いてしまっている方向けに、どのように文法を勉強すればいいのか、効果的な方法をいくつか紹介します。
勉強方法に迷っている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
中学英語の参考書を解く
会話で重要なのはレスポンス（応答）の速さです。基本レベルの文法と単語で、的確かつ簡潔に話せることをまず目標にしましょう。
本屋さんで自分好みの中学英語の参考書を見つけて、基礎文法を復習しましょう。イラストが多め、全文カラーなど、好みの参考書を探してみてください。
参考書を音読する
参考書の準備ができたら、文法の勉強をしているときも音読しましょう。自分の発音が上達することによりネイティブの発音も聞き取りやすくなります。文法力も話す力も聞く力も伸ばせれば、一石三鳥です。
英会話アプリをインストール
英会話アプリは、文法の勉強をしつつもネイティブの発音に触れられるという点でおすすめです。「ネイティブの英語は速くて聞き取れない」という人がいますが、速いのではなく、正しい発音が聞き取れていないという原因もあります。
アプリのマネをして実際に話すことで正しい発音が身に付きます。英会話アプリは数え切れないほどの種類があるので、まずは無料かつレビュー点数が高いものをインストールして試してみることをおすすめします。
基本例文は押さえる
基本例文が頭に入っていれば、単語を入れ替えて多彩な表現が可能になります。参考書や英会話アプリにはさまざまなパターンの例文が載っているので、基本を抑えたらさまざまなシーンを想定してアレンジをしてみましょう。
英検3級を受験する
英検3級は、英語学習・英会話学習の基礎がつまった検定です。筆記試験では中学英語の文法力と聞く力の確認ができます。また、面接試験は英会話の実践練習になるので、ある程度の自信が付いたら受検してみることをおすすめします。
英作文の添削を受ける
話し手は瞬間的に頭の中で英作文をして発言していますので、書く力が伸びればおのずと話す力も伸びます。ネイティブに無料で添削してもらえるアプリもありますので、実力を確認するのにもおすすめの方法です。
日本人講師のいる英会話スクールに通う
文法力を磨きたいのであれば、ネイティブの先生ではなくあえて日本人の先生に教えてもらうという手もあります。日本で生まれ育った講師であれば、講師自身が学習を重ねて苦労した経験を積んでいることがあるので、教え方が上手い人もいます。
うまく話せる人、英語ネイティブの人が必ずしも教え方が上手い講師であるわけではありません。英会話スクールの無料体験などを利用して理想の先生を探してみましょう。
英会話力を向上して仕事・趣味・旅行などに活かそう
英会話で必要になるのは基本レベルの文法力です。高度な文法を知っている人が立派なスピーチをしようとするものの、頭の中で文を組み立てる時間が長すぎて会話のリズムを乱してしまうことは往々にしてあります。
みなさんは聞き手が要求している情報を短く簡潔に、そしてできるだけ素早く返すことを心がけましょう。中学で習った文法の知識は決して無駄なものではありません。
ぜひみなさんの今持っている文法力を英会話力につなげて、グローバルな世界への第一歩を踏み出してみましょう。
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記事提供元：Zehitomo
